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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 3-10

 ラーダが早口でしゃべり出す。
『ごめんなさい! 真執さんのGPSがまたハッキングされているんです! すぐ追い払ったから逃げたけど、ここは割り出されたかもしれません。今度も深追いは出来なかったし』
「無理はするな。ここは自宅だから問題ない」
 真執はさっと横の電話を取る。
「僕だ。外の様子を確認してくれないか……ああ、僕の携帯のGPSがまたハッキングされたって友だちが……頼む」
 阿妃佳がうかがうと真執は続けろ、というように手を振った。
「とりあえず大阪情勢との関係も捜査しましょう。清大会はその手がかりの一つです」
「ちょっと司令! あたしの話聞いてた……」
 先程の電話が鳴り真執が出る。
「……わかった。三人を脱出させる。友だちの顔を確認されたくないんだ。いやC3で行こう……サザン観光なら融通が利く。電話してくれ……」
 真執が書くメモを見ながら阿妃佳も事態を把握しようと試みる。
「うちのボディーガードからだけど、ここを張っている奴らがいる。外国人風の白人が四人。うち二人はすぐ前のアパートの廊下に、二人は少し離れたところだ」
「えーっ! 真執ちゃんボディーガードなんているのぉ? すっごーい、さすがお金持ち~!」
「ボディーガードなしなら三十回死んでる」
 三十回死んだ真執、などつぶやく理央んを無視して早口で続ける。
「うちのの推定によれば全員がプロフェッショナルで、うち一人が短銃を持っている可能性がある」
「ひゃあっ!」
 理央んがみかんを取り落とした。
「その程度なら本気でどうこうするつもりはない。ただの偵察だ」
 とはいえ念のため、また少女探偵団のメンバーを真執の関係者として認識させたくもないということだろう。
「私は残るわ」
「司令! 駄目だ」
「全員が一斉に逃げるのはセキュリティ上も得策じゃないでしょう?」
 真執は複雑な表情で阿妃佳を見たが、結局応じた。
 六畳一間の奥、小さな床の間に下げられた日本画の真ん中をいきなり切り裂く。くるりと表装ごと縦二つに壁が開き、タンス大の箱が現われた。銀色に鈍く光るそれからブン! とごく小さな音がすると中央がすべるように左右に開く。
 ミニエレベーターだった。
「僕がこういう家に住んでる理由の一つは、古い建物は最近のより建て方に余裕があるからだ。懐をこんな風に利用できる」
 口をぽかんと開ける理央んと香南に言う。
 阿妃佳は別の意味で呆然と口を開けていた。
「池大雅を切るなんて……本物でしょう?」
「みんなそう思うだろう? だからさ。ここはこの絵を分割しないと開かないんだ。罪滅ぼしに日本画系の財団にいくらか寄付してるよ」 
「……真執の指示に従ってちゃんと脱出するのよ。付けられてないことを確認したら最短距離で家に帰りなさい。香南、間違ってもホーニーの処理なんてしないでね」
「らじゃー」
 だるく返事をして、香南と理央んを載せたエレベーターが閉まった。

「えーん。顔がつぶれちゃうかと思ったよぉー」
 二階の部屋に出た理央んが頬をべしべしと叩く。最小限のスペースで作られたミニエレベーターで、二人は蛙のように貼り付いて上がってきた。
 道の左手から二階建ての観光バスが近づいてくる。と右手からバンが来て、途中で止まった。狭い道路で行き合えない、とバンが少しずつ下って最初の角にバックで引く。
 停止している間に香南と理央んはバスの窓から素早く中に乗り込んだ。真執が手配した観光バスである。
 階下では歌声がする。真執がそれと知らせずに学校の友人に回したエキストラのバイトで、十分ほどミニ旅行のはしゃいだ若者を演じる、という仕事をやっているのだった。


 二人が階上に消えた後。
 真執は鴨居の裏から取り出した銃を、イヤホンからの報告を聞きながら簡単に点検する。木製のグリップに彫り物がつき、銃身の長い時代物風の銃だ。
「真執。二発目は私が撃つから」
「君はそのためにここに残ったのか」
「それだけじゃないかな?」
 笑みを漏らした阿妃佳は銃の使用方法を頭で一通りさらった。
(団長になってから二年半、私は責任をとる、ってずっと言い続けてきた)
 だが、もしここで団員たちが正体不明の賊に襲われて命を落としたら、どうやって償えるのか。「部下」の香南の撹乱で警察が道を誤り事件が迷宮入りしたら、多くの被害者たちにどう詫びればいいというのだろう。
(責任なんて、取れない)
 阿妃佳はじっと特殊銃を見つめた。

 ボディーガードたちがわざと姿を見せて威嚇したこともあり、賊は数分後には姿を消し、阿妃佳は銃を手にすることもなく無事に帰った。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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