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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 3-9

「……これが格好いいと思うの?」
 うさぎ耳。いい大人の男が、スーツの上にカチューシャのうさ耳なのだが?
「他の人が何って言っても気にしないで、自分の道を貫いてるのってすごいなぁって」
 再度氷点下。
「香南、あなたはどう思う? 一連の事件」
 凍り付いた部屋の中から、最後に阿妃佳はやっと尋ねた。

「…違うと思うって!!」
 まず香南は叫んだ。
「大阪へ濡れ衣を着せるためだったらどうして『神戸』の韓国領事館まで襲ったの? 火を付けられた朝鮮学校は南じゃなくて北系でしょ。日本が内戦を起こしたって仲立ちしよう、ってはならないんじゃない? 年のせいで物忘れが激しいのかもしれないけど、前からずっとあたし言ってるでしょ? 聖蓮でもアンドレアでも犯人はあえて殺傷力を抑えてるんだって!! 司令の言うように世論の誘導を目的にしてるなら、犠牲はいくらだって多い方がいいんじゃないの?!」
 見つめる阿妃佳にまくしたてる。
「だから、殺しじゃない目的って何なんだ」
「今はまだわからないって言ってるでしょ! 真執もしつこいな」
 キッと睨む。
 阿妃佳の出した仮説がそこそこは納得出来るなんて、絶対認めてやらない!
(この女……あくまであたしを次の団長にしない気?)
「犯行からにじみ出る強~い憎悪と整合性が取れないんだって。大阪に罪を着せるためなんて冷静な計算とは、あたしには別に思えるんだけど」
 何度もとどめを刺された被害者に、生き残った琴咲への徹底した凶行。
 聖蓮の爆発物にセットされた刃物の数々。
「ただ、大阪とは何の関係もない事件を、利用しようとしている奴らはいるかもしれない。その辺は真執が得意でしょ」
 隠し油田の事実上のオーナーで、母親はかつての大物宰相の孫。十七歳ながら真執は政財界に顔が利く。
 ラーダはパソオタ。自分も分析くらいは出来るがハッキングには手が出せない。あの技量にはかなわない。のーたりんの理央んには「白い卵」が見える。眉唾だと思っていたが、あの子が何かを感じているのは本当だろう。
 阿妃佳にはその手の特技は何もない。けれど「司令塔」の彼女なしでは今の少女探偵団は動かない。あれはあれで立派な特技だ、というくらい香南だってわかっている。
 そして少女探偵団日本支部の頭脳、自分は……今回はまだ、功績を残せていない。誰よりも早く看破したソースの真実は、警察の馬鹿連中に誤解されてしまった。
 香南には戦争なんてどうでもいい。外国だろうと国内だろうと人が死んでも関係ない。でもさと美には無事でいて欲しいし、何より、
(あたしは……大阪に行くんだから!)
「半大阪派にも様々な立場が存在するからね。一番おおっぴらなのはやはり清大会かな。何ならこの筧雅比呂だって容疑者に出来るんじゃないか? 十代から三十代、中肉中背で条件通りだ」
 笑って明らかにからかっている。
「一応動機もあるぜ。筧さんは大学生の時、聖蓮女学院大の彼女にふられてる」
「なんでふられたの?」
「連れて歩くのが恥ずかしい、って」
「ああ……それは」
「まあ、ね……」
 …………
 にこにこ顔の理央ん以外、皆うなずく。
「ショックで留年しているくらいだから応えたんだろうな。ただその元彼女っていうのは大学から聖蓮に入った人で、中高にはいなかったんだけどね」
 ぷいと香南は写真週刊誌の中の「惨状」を見る。
 以前筧はその手の服装で議員会館に出入りすることを「ふさわしくない」と止められたが、裁判に持ち込んで勝って以来、誰も文句がつけられなくなった。
 小学校なら先生に何か言われるに決まっている格好なのだが。
 父親の方は目立たない議員だとの評判だ(服装もまともだ)。数年前に一度大臣を務めた時も可もなく不可もない仕事ぶりだったという。
 だが香南は思いっきりこの議員が気に入らなかった。
 「気に入らない」を文庫本にして富士山の高さまで積んでもまだ足りないほど気に食わない!
 筧議員は「人間性立国」を推進しH点を導入した一人だ。それでもまだ足りないと今も人間性向上運動とやらを進めている。
 いつか自分が力を持ったら復讐してやりたい。
(でもあたしが大人になる頃に、よぼよぼのじーさんになっちまうなんてことは……)
「この人復讐するかなあ」
 言うと理央んは人差し指の中ほどでついと唇をぬぐった。
「あなたが聞いた卵の声ね」
「うん!」
 まるでしっぽをふる犬だ。
 嫌な感じと理央んと阿妃佳を眺める。真執は大きく笑った。
「その通りだよ! 筧さんは前向き過ぎるところはあっても、後ろ向きに攻撃する人じゃない。あんなのであの世界を渡っていけるのか、心配になるくらいにね。いずれ地盤を継いで議員になるだろうな。あんな恵まれた人に復讐されても困る。冗談だよ」
「議員になってもあの格好かしらね」
「さすがにどうかな」
 ぶわあん!
 どらが鳴ったような音が響いた。



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