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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 4-1

 初のミサイル警告攻撃は三月の半ばだった。
 その日早朝五時から約十五分間、大阪府警のヘリに押し出されて戻るまで、自衛隊機は空から警告ビラを散布した。戦闘機の爆音に、逃げるどころか次々に家から出て来て見物していた程度の雰囲気だった。
 爆撃予定地として警告されたのは三ケ所。予告時刻の午前七時を二分過ぎて、大阪湾上の自衛隊艦船から三発のミサイルが大阪に飛来した。事前に噂されていた通り弾頭は外されていて破壊を起しただけだった。
 一発は予告通り、大阪=梅田駅前の百貨店の屋上を破壊して下のフロアに突き抜けた。あとの二発は外した。
 一発は大阪ビジネスパークの路上に大きな穴を掘ったのみ。
 最後の一発が問題だった。諸悪の根源(とビラが主張した)大阪府庁の隣、大阪城公園の石垣に直撃し、一人が即死したのだ。
 彼が日本政府の大阪攻撃を防ぐために入府した「ピースキーピングボランティア」の学生だったのは皮肉だった。公園内のボランティア本部から府庁に連絡に行こうとして難にあったらしい。
 府内各地では人々が自然発生的に集まり、六甲おろしを歌いながら犠牲者に祈った。道頓堀川では抗議ダイブが行われ、数人が警察に連行された。
 新聞は号外を出し、テレビでは臨時番組が延々と大阪攻撃を報じた。
 そのため、本来ならマスコミが飛びつきそうな次の報道はあまりなされなかった。

『殺された桜谷《さくらだに》美弥《みや》さん(十二)は聖蓮女学院を受験し、実技試験時に事件に合って顔に軽傷を負いました。傷はすぐ治ったものの、目の前で同じ受験生が死亡したことにショックを受けて、その後ずっとふさいでいたといいます。他校の入試も欠席し、地元の公立中学に進学することが決定していました。ここで警視庁より中継です……』

 スーパーの階段横のベンチ、香南はいらいらと携帯のボタンを押す。
(こんな時になんで出ないのよ! アホ馬鹿間抜け、史上最低の無能司令っ!)

『黒宗です。またいたいけな少女の犠牲が出たとは……私も部下ももう何と言っていいのか……うううっ……』

 泣いてる暇があったら犯人を捕まえろ!
 香南だけではなく、何万人かがテレビ前で叫んだセリフだ。
 家電売場の大モニターを睨みつけてからまた送信ボタンを押す。

『犯行声明は遺体の下に敷くような形で置かれていました。こちらがコピーです』

「今回の小学生殺害が第三の事件である。警察諸君の検討を折る」

『最後は健闘を祈るの打ち間違えのようですなあ』

(馬鹿じゃん!)
 犯人は今回の犯行声明で、香南が出した「警告」も「声明」だとねじ曲げた。
 その裏に犯人の自分への怒りを香南はひしひしと感じた。頭がワルイくせに生意気な奴だ。前回と同じ犯人の手になると思い込んだ警察の馬鹿もぶんなぐってやりたい。
 桜谷は帰宅途中に難に合った。この駅ではいったん外へ出て数十メートルほど歩いて乗り換えるのだが、被害者は一本入った小道で扼殺されていた。現場は人通りがそう多くなく、目撃証言も今のところない。
遺体にはまたおかちめんこソースがかけられていたと警察は発表している。
(おかしいって)
 ただ今電話に出ることができません―メッセージを聞きながらつぶやく。
(つまり、警察が隠している何らかの共通の遺留物が今回もあったってワケね)
 それとどの報道にも桜谷がどこからの帰宅途中だったかとの情報がない。
 当初行き先は医療機関だとほのめかされていたが、聖蓮事件の当事者だと発表された頃から、外出先としか言わなくなった。
(例の事件ですごいショックを受けたって子が、そうそう出歩くかって!)
 なぜ伏せられているのだろう。

『総監、桜谷さんは前回の入試でも狙われ、今回もまた被害にあったわけですよね? ということは実はこの一連の事件の目的はこの少女の殺害だったと……』
『目的も何もまだわかららんよ』
『でも、おかちめんこソースはあったんですよね!』

 黒宗の前のテーブルにはソースボトルがどかりと置かれていた。ラベル上でにこにこ笑う女の顔が今ではホラーめいて見えると巷でも評判だ。
(今回のは、今までとは違う)
 爆発物にしろ放火にしろ結果のわりに手間をかけすぎていたが、今度は凶器の準備もなくただ手で首を締めただけである。ーソースの準備だけは万端だったようだが。
 加えて生き残りを出さず殺害のみがなされている。
「止めた! 司令、あたしたちどっかズレてんじゃない?」
 あーあ、と伸びをして狩りモードに気分を切り替える。
 駅裏のバーガーショップで会う中年男は、余計な口を聞かずにやることだけやってくれるからお気にいりだ。
「いらっしゃいませー」
 制服姿の中高生があちらこちらで馬鹿話をしている。頭のワルイ連中を冷たく見下げて店内に目を動かす。サラリーマンらしき新聞を広げた男に、話に夢中になっている二人組のおばさん―正確には一人が熱狂的にしゃべっていて、一人は嫌そうに相づちを打っているだけだったが。
(いた!)
 カーキ色のコートの男が香南を見てにこりと笑い、近寄ってくる。ジュースを買ってからとカウンターに行きかけた時、
「香南ちゃん。話がある」
 後ろからいきなり真執が出現した。
「何? 急ぎじゃないなら後にして。五時半までに家に帰らないとうるさいんだって。今あたしホーニーだから。邪魔する奴はあんたでも許さないからね」
 豊かな胸をつけるように寄って、精一杯の極悪視線で見上げる。
「あんた、あたしを張ってたんでしょ」
「君の話を聞いてれば、どのあたりの店に出入りしてるかは想像できるからな」
 所在なさげに立っていた男に言う。
「こいつに大事な話があるんだ、行ってくれ」
 ちょっとの間二人を見比べていた男は、
「……彼氏かい? 悪かったね。ぼくは若い人たちの邪魔はしないから」
 香南ににこりとするとしっぽを巻いて退散した。
 思いっきり誤解されたらしい。
「ちょっと真執! あんたが自分が女だってことを受け入れられないからって、あたしの邪魔することないでしょっ!」
「僕は男になろうとしたことは一度もない! 僕らしくしてるだけだ。そんなことより」
 入り口前での口論で少々(かなり?)注目を集めた二人はもつれるように外に出る。
「阿妃佳が警察に連れていかれた」
 腕をつかむ手をはらおうとして、え、と言ったきり絶句した。
「犯行声明がらみでだ。どうするつもりだ」



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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