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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 4-2

 ある日学級会で「みんなを幸せにするにはどうしたらいいか」が話し合われた。
 親切にする、プレゼントをする、など色々な意見が出た。
 香南は猛然と反論した。
『そんなことより、まずあたしを幸せにして欲しい!』
 春瀬さんは楽しくないの? 楽しくない。
 答えたらクラスの子たちは真剣に考え出した。
「春瀬さんを楽しくするにはどうしたらいいか」
 後半から議題はこうなったが、結局誰も香南を楽しくする方法を思いつくことが出来なかった。
 帰りに友だちに―香南だって学校に行き帰りするくらいの友だちはいるのだ―楽しいの? と聞いた。
『楽しくないことはないから、楽しい、と思う』
 香南は正反対だった。楽しいことがないから、楽しくない。
 あの頃はまだホーニーの処理もよくわからなかったし、少女探偵団にも入っていなかった―

 バーガーショップで捕まった日、真執は怒りを露に香南に話した。
 桜谷美弥が殺されてから五日後、真執は金沢の母親経由で警察の事情聴取に応じるよう依頼された。翌日、指定された都心一流ホテルの部屋に出向くと、扼殺事件捜査本部からの刑事が二人待っていた。場所も刑事の一人が年若い(と微妙に言える)女性だったのも、真執への配慮だったのだろう。あくまで扱いは丁寧だった。
 それでも今までの犯行時のアリバイをさりげなく聞かれた。幸い、学校にいるか劇団の仲間といるかでアリバイが立たない時はなかった。
 次にパソコンやプリンターを使うか、自宅で使っている機種は何か、外でそれらを使うかなどを聞いた。世間話のように友人である阿妃佳についても長々と尋ねた。一連の連続殺人・事件への感想を聞かれてから真執は解放された。
 尾行があることはボディーガードから知らされていたが、日常茶飯事なので気にしていなかった。まさか日本の警察とは思わなかった、うかつだったと真執は認めた。
『彼らは簡単には僕みたいな人間には手が出せない。だけど、実際に犯罪に手を染めてると思ったら別だ。日本警察はそんなに腐っちゃいない。……でなきゃ、兄さんと父さんが塀の中にいるわけない』
 冷たい笑いを見せた真執は、だから警察は本気で真執が容疑者だとは思っていないと香南に言った。
『問題は司令だ』
 翌朝阿妃佳にメールしたが返事がなかった。電話も留守メッセージのままだったので、阿妃佳の家に行こうとしたが、ボディーガードから刑事らしい人間が張っていると言われて戻った。家の電話にかけると阿妃佳の母親が出て、ちょっと外出中だとあいまいに、また困ったように答える。
『警察ですか? 僕も昨日、事情聴取に協力してきたんですが』
 母親はほっとしたように話し出した。桜谷殺害事件について何か知っているのではないか、と昨日今日警察に呼ばれているという。真執は母を慰めてから電話を切った。
 その夜やっと阿妃佳からメールが返ってきた。警察の目を意識しての当たり障りのない内容で、一連の事件についてやプリンターの使用、(少女探偵団として)あちらこちらへに行ったことへの説明を求められたが、やましいところは何もないから安心してくれ、というものだった。
 それから連日、卒業前で授業もない阿妃佳は早朝から夜まで事情聴取で署に呼ばれている。真執宅も時折刑事が見張っているので、ボディーガードたちは姿を見せずに警護するのに四苦八苦しているという。
 犯人は若い男だ。阿妃佳が実行犯であるはずはない(真執はともかく)。共犯の疑いを持たれているのだろうと真執は憤慨した。

(でもおかしいって)
 阿妃佳が心配した通りあのプリンターが割り出されたとしたら、最初に連れていかれるのは自分だ。そう言っても頭に血が上った真執は聞き入れず、
『ね、清大会についてもっと情報ない? 筧も含めて六人までは割り出したんだ。政治家が三人に財界関係が二人、官僚一人。だけどそれが限度なんだって! ラダきょんにも協力してもらって見たんだけど、そもそもネット上にほとんど情報がないみたい』
 頼んだ時など、
『君になんか協力するか!』
 と電話をぶち切られてしまった。
(あーあ。司令のことになるとコレだからねー。十七のくせに使えない奴)
 というわけで、もう一人の使えない十七歳を使うしかない。
 ショッピングセンターの三階、コーヒーショップ窓際の席から正面広場を見下ろすと、とことこと歩く理央んの背中が見える。
 向かいのビルには以前「犯行声明」を作るのに使ったネットカフェが入っている。自分が店に入って刑事にマークされても嫌なので、理央んに調査を押し付けた香南は相変わらずである。
 それなりに注意して見ているが、あたりに警察らしき姿は見えない。あの店が割り出されていたらいるほうが自然だと思うが、少し日が経っているので何とも言えない。
 理央んには、ネットで検索して適当なレシピを印刷するように指示した。その時に、前回香南がチェックしておいたプリンターの型番や製造番号と、今のそれを比べる。その後―
 鳴った電話はラーダからだ。
『作戦成功ですよ! このネットカフェには警察は来ていません』
 店内チェックが終わったらネットに接続し、ラーダのこの店への「侵入」にも協力するよう理央んに指示していた。この手の店なら従業員用の内部掲示板もあると踏んだが、やはり正解だった。
『香南ちゃんが紅茶をこぼした翌日にプリンタが壊れたこと、その後修理関係の連絡事項がいくつか従業員掲示板にありました。全部ラブリーミニカナに流してあります』
 ラブリーミニカナとはラーダが香南の(正確には母親の)パソコンにつけた名前である。
『飲物をこぼさないようにという注意の貼り紙を作った痕跡もありました。ですけど、今日までの間に一度も警察官が来るとかいう話はありませんでした』
「ありがと! ラダきょんやったね!」

 窓に面したカウンターの椅子は高く座り心地が悪い。隣のカフェなら落ち着いて座れるのだろうが、こちらよりオレンジジュースが二倍以上高い。探偵団のお財布係でもある阿妃佳が頼れない今、香南のおこづかいではきつい。
 やがてビルの出口に理央んが姿を見せた。こちらを見上げるとにこにこ手を振ってみせる。
(あの馬鹿!)
 万一刑事が張っていたら自分が危ないではないか。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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