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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 4-4

「八割方」
「無理はしないでください。情報は入るだけで結構です。社長からも言われたんじゃないですか」
 それはまあと専務は笑った。
「社長からは、政治がらみの処理は真執様がなさるので任せるように、と言われております」
(僕がって?)
 苦笑いを噛み殺す。全く喰えない女だ。
「……今期は当社も史上五番目の利益が上がっています。ある程度手には余裕があるかと」
「ありがとうございます。きな臭くなるほど儲かる。なるほど僕たちは死の商人ですね」
 経理報告を目に言い捨てる。
「ああ済みません。実際に社の運営に苦労なさっているのはあなたですよね」
「いいえ。社長や『お坊ちゃま』のバックアップあってこその健全経営でございます」
「専務」
「失礼しました、お嬢様。……私は勇真《ゆうま》様にもついておりましたので、つい」
「わかります。が……父はともかく、兄はもう当社の経営に関わることはありません」
 兄はもう戻って来ないんです―ペルシャンブルーのガラスに目をやりながら真執は厳しく答えた。最敬礼をした専務の頭の薄さが以前の三割増しになっているのを見、その苦労をいとおしく思いながらも。

 翌朝、帰り支度をしていた真執は突然ボディーガードに呼ばれた。
「真執様! 東京の警護の者が、その、賊に襲われたようなんですが」
(!)
「具体的な被害は? 賊は誰だ。先日の白人系かそれとも……」
「それがその……とても可愛らしい賊だそうで」

 ボディーガードたちは、二人の少女が真執の留守宅に向って歩いてきたのを発見した。堂々と胸を入って歩いて来た一人は小学生くらい。後ろから重そうな荷物をよいしょ、よいしょ、とカートで運んで来たのが高校生くらい。真執宅に出入りする知人のデーターベースから「ハルセカナン」「ナツムラリオン」であることを彼らは確認した。
 「木賃宿」の中廊下に入ってくると、まず香南が真執宅のドアを叩いた。
「ちょっと真執ー! いい加減ふててないで出て来なさいよー! 電話にも出ないってどーいうワケー?」
 しばらくドアを叩いた後、二人は右隣のドアを叩いた。
「真執んとこのおじさん、いる?」
 右の部屋の住人は真執とは全く関係のない学生だ。出てきた男は眠そうな顔で文句を言った。
 二人は今度は左に移り、ボディーガードたちの控室のドアをだんだん叩いた。早々と手が疲れたと言って理央んにノックを任せてから続ける。
「真執んとこのガードのおじさん、いるんでしょ。わかってるわよ。あのね、あたし春瀬香南って言って真執の友だち。一応ね。ここんとこ全然真執と連絡が取れないんだけど、どうしても話がしたいの。おじさんたちなら何とかなるんじゃない」
 当然沈黙を保った彼らに、香南はドアごしにこう言い放った。
「連絡しないと、後悔することになると思うけど。理央ん!」
 はあい、とのんびりと返事をして、理央んは荷物に掛かっていた布を外した。オレンジ色の大きなポリタンクをあけると、よいしょ、よいしょ、よっととと、など鼻歌を歌いながら中の液体を真執宅からボディーガードの控室の前まで丁寧に撒いた。
 香南がするり、とメモをドアの隙間から入れ込んできた。

「江礼真執のボディーガードのおじさんへ
 ガソリンを撒きました
 一分以内にドアを開けないとライターで火をつけます
                 理央ん&香南
 P・S・ そっちのことだから銃器とか持ってんでしょ
      引火したら大変よ。わかってるでしょ♡」

『―匂いからすると本物のようでして。それで、こちらの部屋は一般人には見せられませんから、とりあえずお嬢様の部屋の方をあけて玄関先で応対しています。小さい方のお嬢様、春瀬香南さんがライターを振り回すので取り上げて、懸命に説得しましたら、その代わりと言って電話するように要求されたので、今しているんですが……』
「あの馬鹿野郎!」
 真執は携帯を受け取ると思いっきり怒鳴った。
「うちのボディーガードに火傷一つでも負わせたら承知しないぞっ!!」
 やっと出てきた、ほんとに家にはいなかったのねと香南は平然と言った。
『うるさいわねえ。耳が壊れたらどーすんのよ。あんたが電話もメールも無視し続けなのが悪いんでしょ。あんたならボディーガードは必ずそば、おそらく隣に住んでると思ったからカマ掛けたの。成功成功! あんたの負け、あたしの勝ち』
「で何の用だ!」
『確認したいことがあるの。真執はいつから刑事さんに尾行されてたの』
「そんなもの君に教える必要はない。用がそれだけなら切るぞ!」
「あ・ん・た、司令を助けたいんでしょ!! だったら人の話を聞けってんだこの馬っ鹿ヤロー!!」
 耳が痛むほど怒鳴り返された。
「受験生扼殺事件の翌日から一週間だ。木曜日から自宅を張っていた刑事も消えた。……それが司令を助ける材料になるのか」
『思いっきり! 真執。やっぱ今回司令がとっ捕まってるのは、あたしが送った警告のせいじゃない。おそらく……』
「またそんな寝言……」
『聞けってんだろっ! このオトコオンナ! いい? だったらあたしも尾行されてるはずでしょ。でもあたしはされてないから』
「君にわかるか! そんなこと」
 ボディーガード付きの真執はともかく、香南が刑事の尾行に気付くとは保証出来ない。
『完璧! 絶対尾行なんかされてないの! だってあたし、その間、三回もホーニーの処理してたもの』
「なっ!」
『関係者だったら、警察はどんな小さなことでも理由にして引っ張りたいはずでしょ? 男とホテルに行ったのなんか、堂々と不純異性交友で補導出来るネタなんだから』
「普通しないだろうっ?! こんな時にぃっ!」
 真執の声は裏返り―珍しいことに―女性の声に聞こえるほど高く上がっていた。
『……だから警察はあたしのルートで司令を見つけたんじゃなくて、何か別のルートで見つけたってのは確実なワケ。わかる? あんたも呼ばれたってことは、どっか二人で行ったとこが引っかかったってことだと思うんだけど……その辺で司令抜きでも捜査会議をしたいの。今どこ?』
「……実家だ。これからそっちへ戻る」
『えー、金沢か』



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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