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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 5-4

「昔は成れたんだよ」
 理央んはへっという顔をしている。
「確かに高くはなさそうだけどね」
「でも、どうしようもなく低くもないんじゃない?」
 苦笑いで真執に返す。
「……かな」
「悪かったですね!」
 本意でなさそうな真執の向こう、勝手にむくれる香南を無視する。
「警察《うち》の評価は高いわよ。口は固いし、被害者の予後もいい。結果、被害者から話が聞き易くなるから。気難しい先生だって評判もそりゃあるけどね」


『いいかね明灰くん。加害者の心の傷はどうなるんだ? 君もやはりマスコミの加害者びいきの影響を受けているようだね。いいかね。犯人はそれだけのことをやったのだから、多少プライベートがあかされても叩かれても仕方がない。対してここに集う人たちは、自分が何をしたわけではないのに家族や仕事、恋愛まであばかれて……」
 机の下、真執がこっそり指で三を示した。阿妃佳も同じく示し返す。岩室のこの話は三回目なのだ。二人は目を合わせ、そっと肩をすくめて、げっそりと息を吐いて長い高説に耐えた。


「司令! 岩室先生って詰めが甘かったり、誤字脱字が多そうなタイプ?」
「あまりそういう感じは……」
「正反対だ。僕の感触ではね。彼なら、入試爆破事件は犠牲者が増える刃だけを冷静にセットする気がする。放火や火炎瓶の方も、あの人なら最後までその場に踏みとどまって見届けて、捕まるけれど被害も大きくなる方法を取るんじゃ―」
「粘着質、よね」
「沙月さん、八橋って人の死亡ってちゃんと警察が確認したの?」
 香南がさっと沙月を見上げる。
「大阪府警が確認してるはずよ」
「最初の頃、遺体の損傷がひどくて身元確認が難しいってニュースで言ってたじゃない。あれって顔も含めてぐちゃぐちゃだったってことでしょ?」
 真執が顔を背けた。
「ミステリーじゃ顔がメチャクチャになった被害者は別人、てのは基本よ」
「それくらい警察《こっち》もわかってるわ。遺体の確認はおそらく指紋でやってるでしょう。新しい死体だし、火も水もかかってないから問題ないわ」
「……総監に確認してもらえませんか? 無理?」
「聞けば話すでしょうね。だから聞きたくないのよ! 黒ちゃんはね、アタシだけじゃなくても親しい人に聞かれると何でもホイホイしゃべっちゃうの。この間も起訴前の事故の話をペラペラしゃべりまくっちゃって! 『バカ黒ぉ♡』ってほっぺたひっぱたいたら済まん済まんって、またそれが五十過ぎには見えない可愛い顔で…………」
 ……
 沙月を呼ぶと、もれなく長ったらしいのろけ話が付いてくる。モニターのラーダも含め皆で顔を見合わせた。
 ー五分経過。
「……悪いクセはつけたくないのよね。機会があれば聞いてみるわ」
「沙月さん、清大会については何か情報持ってませんか」
「……おそらく全警察の情報を合わせたよりも、真執ちゃんの手持ちの方が多いわよ」
 沙月は真執が元首相のひ孫だとということは知っているが、油田オーナーであることは知らない。
「論語の勉強会から始まったと聞いています。十年以上前からあったらしい。今は他の中国古典を始め様々な学習会を開いてる。閉鎖的なグループなんで、僕もよくわかりませんがね」
「大人のクセにひそひそ寄せ集まって勉強なんて、変態みたい!」
「政財界のトップは昔からそうだよ。トップには誰もどう進むかを教えてくれないだろ? だったら自分を鍛えて、自分で律するしかない」
 真執には他人事ではない。「へんたい~」とまだつぶやいている香南にはわからないのだろう。
「心の修養を掲げているせいか、H点の導入には積極的だった。筧大臣は旗振り役だったしね。今でも何かと人間性向上を口にする輩が多い。……大阪は目の敵だろう」
「ヤな奴ら」
「香南ちゃんに言われるようじゃな」
「何か言った?」
 話が脱線する前に口を挟む。
「去年の春に、うちの母親が清大会の集まりに呼ばれて仕事してたの。色の癒し効果について二時間ほど実演して話しただけで、その後縁はなかったんだけど―」


 母屋の客間に、日本中誰でも知っている電器メーカーの社長が座っていた。
『お母さんにはとってもいい話を聞かせてもらったんだよ。その薫陶を受けた阿妃佳さんが悪い子なわけない』
 心配になって飛んできた。何か困ってることはないかと柔らかく尋ねる。
『……どこから私のこと聞いたんですか?』
『阿妃佳ちゃん!』
 母が叱る。
『必要な情報は人が見つけてきて教えてくれるもんなんだよ』
 明るい灰色のスーツが同じ色の髪に似合っている丸顔の男は笑みを絶やさなかった。


「大丈夫かい、困ったことはあるかいの繰り返しで、話にならなかったわ。真執のことはちょっと聞かれたけど、友人のことは話したくありませんって突っぱねた」
 ちらりと彼女を見る。
「大会社の社長の地位にある人が、一度セミナーで知り合った人間の娘ってだけで、わざわざ足を運ぶと思う? あの社長自体は違うけど、関連会社で会長を務める叔父がメンバーなの。清大会がこの事件に普通でない関心を持っていること、真執のマークやハッキングから考えても、大阪情勢と関係があることは明白なように思います」
「……どういうこと? 阿妃佳ちゃんが言うようなら、キティーポニークラブと清大会に何らかの関係がある、ということよね?」
「それはまだ発見出来ていませんが……」
 嫌だ。こういう時、はっきりスッパリ真実を突いたりしてみたい。
「岩室先生はH点至上主義じゃないわ。真執ちゃんの言うようなグループとはむしろ相性が悪いと思う」
「ただ、ハッキングの巧妙さからは権力のある人の可能性は高いと思います。自分でやらなくてもお金で誰かを雇えますし、通信や警察関係にも顔がききますでしょう?」
 ラーダが添え、沙月は首を振って髪を払ってからうなずく。
「……なるほどね。ただ、アタシはいくら何でも、清大会レベルの政治家や財界人が女の子を殺して回ったりするとは思えないの。現実的にね。常に側近に囲まれていて、殺人や放火が出来る時間の確保が難しいから。彼らは背後にいて、実行犯は別ならまだ有り得るかもしれないけど。……アタシも警察生活が長くなって、頭が固くなってるのかもしれないけどね」



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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