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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 5-7

 奈良からか和歌山からか。自衛隊は既に準備万端のはず。
 大阪府警の「アホ」行為(さと美曰く大阪人は「馬鹿」には成れないそうだ)を口実に彼らは侵略の手を伸ばす。
 「日本」と戦争をしたら大阪に勝ち目はない。大阪は占領され、ここと同じにされてしまう。いくら頭が良くてもH点で差別され、「性格エリート」に踏みつぶされ―聖蓮の馬鹿お嬢様のような奴らに―と理央んを見る。
(違う。こいつはまた別の馬鹿だわ)
 頭を振る。

 大阪でなら好きなだけ勉強が出来る。
 座禅やお祈りやカウンセリングやなんとか分析なんかに時間を取られず思う存分にだ! 小説だってたくさん読める。大阪で頑張って大人になったら、子どもの自分を踏みにじった連中を喰いちぎってボロボロにしていじめてやる! 弱肉強食、やられたことはやり返す!
 時間をかけてやっとうるさい両親も説得したのに。
(あたしの、人生―)
 今、目の前でモーゼに開かれた海が閉じていく―
 喉の奥とお腹の下、ぐるぐる回っているのは怒りなのか泣きたい思いかわからない。
 

『ただ今、地元局が流した人質の映像が手に入りました。ショッキングな内容ですので皆様は覚悟の上ご覧ください!』

 畳敷きの広間に迷彩服がずらりと並ぶ。顔はモザイクがかけられて見えない。
『は~い! カニ食べ放題はあと十分で終わりやで~! 注文忘れがないようにしておくれなぁ』
 着物姿の男がぱんぱん手を叩いて歩く。黒い鍋回りには山と積まれた赤と白―言わずと知れたカニの殻である。
『食後のたこ焼は、えらい済んまへんが食い放題やないんや。粉が不足してましてなあ。豚まんは好きなだけ食べてくんなはれ。やっぱりある時とない時ではちゃいますからなあ』
 カメラは敷居の向こうの部屋に移る。
『こちらのべっぴんなお姉さん方には特別に、スイーツの食べ放題がありますよって、どんどん注文しておくれやす~! 時間制限は一時間でっせー!』
 と隣から野太く若い声が響いてきた。
『オレも甘いもん食いたいぞー! ここんとこストレスたまってんだー!』
『パフェ食いた~い! ぱーふぇ! ぱーふぇ!』
『……どないしまひょ? そやな、ケーキは粉が足りないよって無理やけど、それ以外のもんは男の方も三十分だけ食べ放題にしまひょか。皆さんは特別なゲストやさかい、出血大サービスやでぇ~!』

『カニ食べ放題。なんてうらやまし……』
 言いかけた男性アナウンサーは直ちに数人に拉致されてスタジオから姿を消した。
『申し訳ありません。ただ今当局アナウンサーまで大阪のスパイだと判明し……』


 阿妃佳は黙ってニュースを消した。誰の抗議もなかった。
「わたしもうらやましいな♡ カニ食べ放題だって」
 対して真執&香南組は冷淡だった。
「カニ食べたくないのぉー?!」
「カニは実家の方がおいしい」
「前に一度だけ食べたことあるけど、身を取り出すのすごく面倒。誰かが剥いてくれるなら食べる」
(このわがままガキが)
 半べその香南にそれでも阿妃佳が思った時、
 ピーッ! ピーッ! ピーッ!
 警笛が部屋に鳴り響いた。
「ボディーガードがやられた!」
 真執が携帯を掴む。
「崔さん! 無事か! ………わかった。総勢四人、先日と同じ外国人勢だね」
 阿妃佳は素早くあたりを見回した。身を守るものは―何もない。ここは癒しの部屋。細い裏道から木戸を開けて入った敷地の奥、母屋は留守で、騒ぎが起きても周りにはわからない。
 落ち着けと自分に言い聞かせテーブルの下で拳を握る。
「………推定武器は最低でも短銃および大型ナイフ。賊はおよそあと三分でその扉に達する! ボディーガードが一人やられた。一人がこっちに急いでる」
 真執の目が救いを求めるようにこちらに泳ぐ。
「椅子を二つドアの前に。バリケード代わり。ないよりはましだわ」
 真執と二人の目を意識しながらきびきびと命じる。
「テーブルを引っ張るわ。理央ん! 手伝って」
 おどおどと目を見開きしていた理央んはそれでもテーブルを押し、奥の白い棚に付けた。ふとその上のハーブボトルが目に入る。こんな時でも光を通し輝いて、脇の水晶も―
 テーブルクロスを引き上げると、片腕でどさっとボトルを落とした。続いて棚を払うと水晶も固い音を立てて床にぶつかる。
「それお母さんの!」
 香南と真執が同時に声をあげた。
「私に何かある方が母さんが悲しむわ。それに……」
 こんな時だからこそふっと笑う。
「私も一度やってみたかったしね」
「司令…」
「ぼやぼやするのは後! 香南と理央んはそれをかき集めてテーブルの下へ避難! それから石の丸いものだけドアの前にまとめて……時間稼ぎぐらいにはなるかも」
 サイドテーブル上の電話の受話器を取るがすぐに落とす。
「駄目。電話線が切られてる」
 真執がバッグからレトロな銃を持ち出す。二十センチほどで、蔦のような彫り物がある茶色の銃だ。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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