TOP > スポンサー広告 > title - 少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 6-1TOP > 少女探偵団 大阪戦争? 福あり! > title - 少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 6-1

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 6-1

 香南は閉じこめられている。
 警察から親に連れ帰られた後、学校と塾の行き帰り以外、どこに出ることも許してくれない。わずかな外出は母親の送り迎え付きでホーニーの処理などとんでもない。
(余計ストレスがたまるってわかんないもんなのかな? 親って)
 携帯は取り上げられた。パソコンは使えるが、メールのやり取りは親に監視されてこれも事実上禁止だ。
 ただラーダからのメールは暗号化で無意味な文字列になっていたため、親は迷惑メールと見なしてごみ箱に捨ててていた。お陰で救い上げて中が読めた。

「捜査本部のある警察署からのネット接続を時々観察していましたが、最近大きな動きがあります。多数の人から検索がかかっていて―」
 キーワードは、
「豚まん」
「製造」
「求人」
 の三つ。「工場」「寮」などの言葉がプラスされることもある。
「香南ちゃん、どう思いますか」
(……)

 世界はあんなにきれいだったのに、北向きのこの部屋で、
 ―あたしは、生きている。
 大阪への地上進攻は奈良ルートでほぼ確定だとニュースで言っている。
 自分はいつまで牢獄にいるのだろう。ずっとずっと、はるかな先、大人になるまで?
 大人になったら―



 和服でここまでケンカ出来るものなのかー病院の廊下で警備の警官は感心していた。
 上司曰くナントカ絞りという和服を着こなした中年女性が、蹴り殴り、勢い良く張り倒している。相手の女は防戦一方だったが、耐えがたいのか時々無闇に手を振り回す。
「う、うちの阿妃佳ちゃんは普通の子です! そちらみたいに国の一大事に口を出すような子ではありませんっ!」
「真執は江礼の人間だからこそ、政治には一切首を突っ込みません! 学科成績のよろしいそちらのお嬢様が、訳もわからずに飛び込んでしまったのと違いますか」
 言うなりキッーク!
(うわあ、跳び蹴りに近いよアレは! おっと今度はパンチが出ましたっ!)
 世の中には色々と秘密があるー警官は思う。
 和服の女は知られざる財閥の人間なんだと上司は言った。
 その娘と友人たち四人の少女は突然「六人組」の武装外国人に襲われた。友人の一人が重傷を負いここに入院しているが、その程度で済んだのは犯人グループが現場で内紛を起したからだという。犯人のうち二人は逃げ、逮捕された四人は黙秘を続けている。
 彼らは米国の警備会社「ゴールデンヴィクトリー」の社員だと判明した。
 戦場での警備や戦闘までを請け負い、前大統領との関係も深いその「傭兵会社」は、警視庁の問い合わせに、四人は休暇中でこちらは何もあずかり知らぬと言い切った。そんな訳はないことは自分にだってわかる。
 だが結局、自分や上司は何一つ知ることはないだろう。
 それでも襲撃の理由が不明な以上病院の警戒も続けざるを得ない。
 青い床の廊下に立ちながら、警官は庶民である幸福と不幸について思いを巡らせた。
「……ですが『知られざる財閥』って言葉からして矛盾してませんかね?」
「いいから! そろそろあの喧嘩止めて来い!」
 隣の上官に言われ、警官は理不尽にも二、三発殴られてからやっと女たちを引き離した。
 その理由はー


「…真執、わざわざヘタまで取らなくても、よかったのに」
「ついでだったから」
 病室で二人で苺をつまむ。
「……香南ちゃんには連絡がつかないまんまか」
 小さくうなずく。
「電話には出ないし、メールしたらお母さんから電話で、『香南は受験を控えていて、不良少女と遊んでいる暇はありません!』でガチャ切り」
 不良少女呼ばわりはさすがに傷つくが、
「……ま、普通親はそうか。僕も今度金沢へ帰った時のことを考えると―」
 真執が苦笑いで肩をすくめるのに阿妃佳も同意する。
「私も退院した後の事は考えたくないわ」
「普通はそうだろ、普通は」
 丸椅子に座って携帯ゲームに夢中になっている理央んを見る。
「理央んのとこのお母さんやお父さんは、何て言ってる?」
「うん! 『若いうちは火傷するような冒険をしてみるもんだ』だってぇ!」
 火傷どころか一つ運が味方しなかったらあの世行きだったのだがー言葉もなく真執と顔を見合わせる。
「病院は白い卵がいっぱいいて、うるさいね」
「それってー」
「想像したくないわね」
 と理央んがゲーム機を放り出して言った。
「ね! ね?! まだ大阪行かないの? 白い卵探しに行くんじゃなかったっけぇ?」


 時には思ってもみなかったことが起こるー警官は思った。
 姿が見えた途端にジャキッ! と敬礼。
「ご苦労様。公式の訪問ではないからの。内密で頼みますよ」
 上司の上司のまた上司、黒宗警視総監がかの有名な妻を連れて現れたのだ!
 夫妻と同行者はすぐ病室に入り、付添の秘書官が耳打ちする。
「内々のお話をするそうだ。離れていろ」
(「知られざる財閥」ってホントなのかよ? でも金はどうやって集めるんだ? スイスの口座とかまさか地下銀行とかっっ……!?)
 移動が遅れ、警官は秘書官の猛叱責を受ける羽目になった。
 庶民の人生とはつくづく理不尽に出来ているらしい。



 目次 

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

小説へはこちらから
最新記事
最近の有無那
ボリウッド4のうち3つまでは見ました。あとは「きっとうまくいく」のみ。ついでにインド映画の御大アミダーブ・バッチャン、ハリウッド初出演の「華麗なるギャツビー」も見たいです…(7/9)
有象無象
連載メルマガ
現在連載中のメルマガはありません
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。