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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 6-3

                  ※

 キーワードは「豚まん」「製造」「求人」
 黒宗は捜査の詳細については少女探偵団員たちに漏らしてくれなかった。沙月が事前に厳しく釘を刺したんだろうさ、と真執は言った。
 だが警察が調べているのがこれらに加えて「工場」「寮」ならー

「『豚まん』っていうのは『肉まん』の大阪近辺での呼び方で、実際には同じ物です」

 母親が買物に出ている隙にラーダにメールを返す。

「考えられるのは、東京で押収された豚まんから八橋の指紋が検出された、という可能性です。麻薬取締法が改正(どー考えても改悪?)された話は前にしましたよね」
 新しく指定されたのは次の二点。

イ)大阪風肉まん(別称:豚まん)
ロ)大阪風たこ焼
  定義 イ:司法当局が別に定める
     ロ:外がかりっ、中がとろりとしていて生地に出汁がきいているもの
       かつ、中のタコ総量が全国平均を越えているもの

『ちなみに警察《こっち》が教えられている豚まんの定義は「すっごくおいしい肉まんで豚肉を主な具をしたもの」だから気をつけなさいね。どっかのコンビニで肉まん食べて「すっごくおいし~い!」とか言ったら逮捕されるかもしれないから。警察《うち》にだって、ノルマがこなせなくて何でもいいから逮捕して点数稼ごうとかいう馬鹿はいるんだから』
 沙月が教えてくれた。
 取り締まる側も困る頭の悪い法律は、約三日人質になった自衛隊員たちが、その後食料やカンパを大阪に送っていたことが判明して出来た。彼ら彼女らが、
『おいしいものを食べさせてくれた人たちを悪くは思えなかった』
 と供述したからだそうだ。
 ちなみに発覚したのも、根室出身の隊員でカニなら郷里の方が旨い! と主張する者の密告だったというから、もう何が何だかどうでもいいような気はするがー
 犯人を捕まえること、さと美が安全であること。
 それだけは見届けなくては。

「別人を身代わりにして逃げた八橋は、容疑から逃れるため、『死後』にキティーポニークラブで顔見知りの桜谷美弥を殺し、再び大阪に逃亡したのではないかと思います。寮のある豚まん工場にでも勤めて生き延びているんじゃないでしょうか。だけど、奴は自分でも知らないことがあります」
 まだ不明な数々の点。犯行の動機に憎悪と殺意のアンバランス。
 だから少女探偵団はいち早く八橋を見つけなくてはならない!

                  ※

 理央ん、準備OK?
 次の日曜がいよいよ大阪1DAYトリップだね。
 関空から自家用ジェットで南港《なんこう》の指定場所(S倉庫前空地)へ行き、府警の人と落ち合います。
 真執が警視庁から預かった指紋を大阪府警に届けるんだって。
 犯人の居所もわかってきたし、これで事件も解決同然、かな?
 終わったら、今度こそケーキおごってよね!!

                         香南

                  ※
 
「夏邑理央ん様、春瀬香南様、カトマンズまでですね。お荷物はこちらでお預かりします」
 羽田空港カウンターの女性は愛想なくそう言った。
「あの、手荷物だけですからぁ~」
「最終目的地までのお荷物をこちらでお預かりすることになっていますが。カトマンズまでよろしいんですよね?」
 小さなリュックとショルダーバッグの香南たちを不審そうに見る。どう言おうか、と香南が頭を回転させ出した時、
「関空へは使用人に持ってこさせます」
 背後に真執が立っていた。女性スタッフは妙に頬を赤くしている。
「……ったく、それも考えてないようだから二人っきりじゃ危ないんだよ」
 真執はあくまで理央んに話しかける。香南の方は見ない。
 ロイヤル・ネパール航空は成田乗り入れがなく、関空だけに発着する。現在関空へ行く許可が出るのはこの種の乗り継ぎ《トランジット》客のみである。だからキャンセルする関空ーカトマンズ間も含めて少女探偵団の経費で落としている。ぜいたくなものだ、などということは香南にはわかっていない。
「わざわざビジネスクラスにする必要なかったんじゃないの?」
 香南は理央んにささやいた。当然ながら機内は空席だらけである。席を取った真執は長身だから足を伸ばすのにいいのかもしれないが、チビの香南にはどうでもいい。
「えー! ビジネスは食事の内容が違うんだよ~! 理央ん一度食べてみかったんだ!」
「羽田ー大阪間で食事が出ると思うか?」
 がーん!
 理央んが突っ伏したのを通路向こうの真執が冷たく眺めた。

 ロイヤル・ネパール航空には乗らないが、厳戒の関空に着いたそれで合流したのはー
「香南ちゃん! 真執さん! 理央んさんも、無事でよかった! 司令の具合はどうですか?」
 ラーダがジーンズにキャメル色のハーフコートで飛んできた。腰に届く漆黒の髪が波のようになびく。相変わらずのうるうる黒目だ、と思いながら腕をとられるままに香南は歩いた。真執も柔らかく微笑む。
「この間はありがとう。本当に助かったよ。司令は日に日に回復してる」
 空港スタッフの案内に通路を進みながら真執にささやく。
「入国審査受けないでいいんですか? わたしサンヴリヤちゃん持ち込むから、出国の時没収されちゃうと困るんです……」
「僕でも沙月さんでも口添えするから。…お母さんには会ってくんだろ?」
「あまり会いたい気持ちはしないんですけど、お父さんが、お母さんの話聞きたがりますから……」
 ラーダの親は離婚していて、日本人の母だけがこちらにいる。
「会えるうちに会っといた方がいいよ。さ、こっちだ」
 空港端に止まっていた自家用ジェットに乗り込む。
「すごーい! 真執さん家飛行機も持ってるんだぁ~!」
「うちが持ってるのはセスナだ。これは知り合いに借りた。帰りに使うそうでね……理央んちゃん、航空機内は危険物の持ち込みは禁止だからな。間違ってもガソリンなんか持ちこむなよ」
 香南が見るとぷい、と横に目を反らす。
 あれ以来、真執はまた香南とまともに話そうとしない。自分をかばって親友の阿妃佳が大怪我をしたのが許せないらしい。今回もなかなか作戦に応じず、阿妃佳を通してやっと納得させた。
(そりゃ『あたしが頼んだわけじゃないもの』って言っちゃったけど。でも、だって、真執があんなにあたしを無視し続けるから仕方なく言っちゃったんじゃない!)
 言ってはいけない究極の一言だったらしい。

 機内からは眼下の大阪湾が光を反射してまぶしい。一面の水色の中、点々と陣取る黒い影は自衛隊の艦船だ。大阪府内の南港は関空からジェット機で行くなど馬鹿げた近さだそうだが、海上も地上も封鎖されている今はこういう手しかない。
 機は和歌山沖を一周した後に南港内の空地に着陸する。真執のコネで運航が許可されたが、両陣営から攻撃を受けないという保証はない。
 この後を考え、香南はダウンジャケットのポケットの中で汗ばむ拳を握った。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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