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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 6-12

『これからしばらく、コンピューターは使えませんでなぁ』
 自称大阪警視総監、鳳周太郎直々の電話である。
 ぴかっ! がらがらん!
 稲光の直後に雷が鳴った。理央んが香南にしがみつく。
『何なんですか。これは?』
『雷は偶然ですわ。いや、やはりコレの影響かもしれませんなぁ。思ったより発動が遅うて、一時はどうなるかと思いましたわ』
 鳳は鷹揚に言った。
『心配せんといてください。これは大阪市民の「早くたこ焼たんまり食わせろー」ちゅう心の叫びってだけですわ。わはははは』
 間違いではなかったかもしれない。
 ただし叫んだのはたこ焼「器」の方であったが。


『いやあ、ほんま驚いたで』
 後からさと美に話を聞くにつれても、香南はつくづくその光景を自分で見たかったと思う。
 その日大阪中の、いや世界中のたこ焼器が空に向って叫んだ。
 既にミサイルが大阪府庁を直撃し炎上。府警も曽根崎警察署はじめ中心地の三署が火に包まれていた。自衛隊の戦車が生駒山暗峠を越え市街地に近づいていた時のことである。
 ぽかり。
 突然、たこ焼プレートが開いた。
 たこ焼用の穴が並ぶ下に埋まった回線がういーんと音を立てて勝手に作動し始める。
『な、なんやのコレ?』
 ありとあらゆる家庭の、屋台の、店のたこ焼器が強力な電磁波を発射し、大阪近辺では計器が狂いまくった。コンピューターやネット、無線も使い物にならなくなる。
 当然自衛隊も大混乱に陥った。現代の戦争は石油のほかにコンピューターも必需品だからである。攻撃どころか態勢の立て直しのため、慌てて陣地に戻る羽目になった。
 大阪の密かな自衛策は、たこ焼器メーカーに依頼して十年以上埋め込み続けた仕掛けだった。
 大阪人なら誰もが持ち、他の地域ではそれほどメジャーではないーこれ以上ない選択だ。
 その間にインドが正式に日本政府に対し大阪との仲立ちを申し出た。どの国も二の足を踏んでいた調停になぜインドが乗りだしたのかーたこ焼用のたこの輸出元だったからだろう、というのがおおかたの噂だが、香南たちは別の事実を知っている。



「香南ちゃん、帰らないんじゃないのぉ?」
 犯人らを沙月たち警察に任せ、少女探偵団員たちは八尾の基地へ着く。
 真執の手配した自家用ジェットに向かって歩いている最中のこと。
「ちょっ、馬鹿っ……!」
 真執が慌てて理央んの腕を引っ張る。香南はかちりと足を止めた。
「……」
 香南ちゃん、と今度はラーダから、心底心配そうな声がかけられる。
「……司令と話してから、考えるから」
「ハイハイ」
 くすっと片頬で笑って、真執は途端に緊張を解いた。
「ホントだって! 司令と話して、それでまたあたし、大阪に行っちゃうかもしれないから」
「何の話するのぉ?」
「…次の団長はあたしに決まってんでしょって駄目押ししに行くんだって!」
「……マジ勘弁」
 真執が額を押さえるのを横目でしらっと見る。
 阿妃佳の声を思い出すと、優しいのに鋭い精油の香りも蘇る。
 ーあなたには、未来があるから。
  私よりもずっと。


 ジェット機に同乗したオーナーは、無駄に派手なストライプスーツに紫のサングラス、顎ひげを生やした褐色の肌の男だった。グラスを外せばー
「マートルちゃん♡ そっちもオイル売りに来てたんか?」
「マトルだ! どっかの便所の幽霊みたいな言い方しないでくれ、リチャード!」
「あ~、立痴菜あらぶ人さんだあ~!!」
 理央んが手を叩いて喜ぶ。
 英語名リチャード。漫才コンビ「世界征服」のツッコミ、立痴菜あらぶ人の登場に香南は唖然と口を開いた。
「一回大阪を脱出したんだろ。いつの間に戻ったんだ?」
「そりゃま~とる、いや真執ちゃん! いつまでも相方放っておくわけいかないやんけ」
「ありがたいことです」
 にこにこしながら、見事にインド風な白い上下で出てきたのは相方のボケ、謎乃いんど人。バーティヤーが本名だそうだ。
「こいつ、世話になった会社の人や回りの人置いて大阪から逃げられへん、ってごねやがってな。んなこと言ったって、しょーもないやん? そやから、わいは一旦は逃げたんやが、アカンのや! 居てもたってもいられんのや。ほら言うんやろ? ボケに逃げられた突っ込みと、突っ込みに逃げられたボケ、どっちがみじめかってなあ!」
「私は逃げていませんよ」
 バーティヤーはおかしそうに笑った。
「うるさい黙っとれ! それで、確かこいつがインド大統領のヨガの先生してたって聞いたことがあったさかい、大使館通して話着けてきたんや」
「大統領のお子さまたちの、先生の助手をですよ」
「……インドって首相でしょ。大統領いないんじゃ……」
「いるんですよ香南ちゃん。名誉職みたいな感じですけれども」
 つぶやきにラーダが解説する。
 立痴菜あらぶ人、ことリチャードのテレビとあまり変わらない大阪弁に対して、謎乃いんど人ことバーティヤーはきれいな標準語だった。香南がそう指摘すると、
「わいは漫才で日本語覚えたからな。でもこいつは、その前に日本語勉強しとったんや」
「長いようで短い道のりでした。大阪に来るまでは」
 バーティヤーは青年の顔立ちに老成した穏やかさを漂わせた。
「私は十三で道に入り、道場《アシュラム》でずっと神の科学を探究してきました。何人もの先生につきまして、最後の先生のアシュラムでは、助手として外から来る皆さまの指導のお手伝いもしておりました」

「……って言うか、犯人でもないのに、何でこの漫才ヨガおじさんにスポットライト当たってんのよ!?」
 香南のぼやきは無視された。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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