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空など飛べないと刑事は言った 3-7

 妹亜の計画はこうだった。
 頓田は明日から一週間、乙部の予備校への行き帰りを「警護」する。
「一方リュン君は、月曜から同じ予備校の集中講座に通う」
 乙部は授業がない時は自習室で勉強しているという。それが本当かどうかも含め、リュンが予備校内を偵察。そして樹馬は、
「学生ラウンジに自由に使えるパソコンがあるそうなのね。そこから潜入!」
「任せといてください! さらっと見てみましたが、あそこの予備校、ファイアーウォール結構穴ありますから。乙部クンの取ってる授業に出席率、テストの成績はもちろん、アクセスサイトやメールまでぜ~んぶOKだと思いますよ」
「一応まだ『法律違反』だから、気をつけてね」
「アンさん優しいなあ。感激ですよ! そんなに僕のことが心配なんですか」
「とばっちりで迷惑がかかるのが嫌なだけ。なーんてね」
 こちらの方が忠実な男メイドのような樹馬に対し、妹亜はきゃらきゃらと笑う。
(……警視。とんでもなく迷惑な依頼をしてませんか?)
 予備校側には、乙部が質の悪い連中につけ回されているので、念の為パソコンに潜入などされていないか確認したい、と伝えてある。だが実際に樹馬がやるのは、令状無しでは犯罪のハッキングだ。
(まあいいか。警視が責任をとるんだから)
 頓田の仕事は朝夕の付添だけ。残りの時間で本件のあすみちゃん事件にかかれるのなら、都合は良い。自分が普通だろうとなかろうと、やるべきことは一つ。少女殺人の真相を解明し、結果真犯人を見つけ、土蜘蛛を救えればいい。
「ところで俺はただお仕事のお手伝いとして、乙部久仁和の様子を探ればいいのでしょうか。それとも成績を上げることも期待されているんでしょうかな」
 一拍置いて樹馬が笑い出す。この男は箸が転んでもおかしいらしい。
「リュン君ナイス突っ込み!」
「……警察予算じゃなくて、わたしのポケットマネーだしね。成績が上がることも期待します。リュン君日本史苦手でしょ。入れとくね!」
 気取った無表情から一瞬「ゲッ」という顔になった。
 次の瞬間リュンはとくるりと後ろを向くと、白いエプロンの蝶結びを揺らしてキッチンへ向かう。
「だから俺は付属ですから、勉強なんかしなくても大学行けるって言ったじゃねえですか」
 そしてより低く言い捨てる。 
 忘れる者、汝の名は女なりー
「そんなこと言うと、パンツ脱ぎっ放しで仕事行っちゃうか、納豆の三連パックを冷蔵庫に入れてやるー!」
「……頓田様ご心配なく。何度も脅されましたが、ご主人様はどちらもやったことがありません」
 よほど顔をしかめていたらしく、オープンカウンターのキッチンからリュンが声をかけてきた。傍らで樹馬は、脱ぎっ放しと納豆が同レベルかなあと頬を赤らめた。


「普通のおじさんでしょ。真面目でいい人だけどね」
 頓田が帰った後、樹馬は今度は紅茶を片手にソファーに居座る。
「いいえ。体の芯がほとんどブレてません」
 妹亜は驚いたように見返した。
「只者じゃないですよ。何かスポーツか武道なさってるんですか」
 警官だから教養範囲の武道はやっているだろうが知らない、と答える。
「俺もとんでもなく安定した動作の方だ、と思いました」
「リュン君も気付いたか。さすがだね! アンさん、今回引いた部下は当たりも当たり、大当たりですよ! 大事にしないと」
「わたしはいつも部下は大事にしてるよ」
 妹亜は軽く答え、そろそろと樹馬を追い出しにかかった。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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