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ピンクのイルカが夢を見た プロローグ

 青い床に夕日が差し込んでいた。
 白雪《はくせつ》寮の玄関はこの時間まだ開け放たれている。外から戻った有人《あると》は、クラスメートの姿に手をあげた。
「習い事?」
「SKジム」
 小さな声で返事が返った。
 クリーム色のシャツに革のアクセント付きのチェックのスカート。他の女の子たちほど制服のスカートは短くない。トルコ石色の小リュックは、クラスで一番小さい彼女の背には存在感があり過ぎて、かわいそうなほど重く見えた。真っ直ぐなこげ茶色の髪は頭頂部で小さく跳ね小人のダンスのようにそれぞれに輝いていた。
 ジム、つまりスポーツクラブという答えが意外で、有人は少し目を見開いた。
 通り過ぎる「まつみ」を、さりげなく横目で見送る。と彼女はふっと顔をあげた。
「ね。塩矢《しおや》君は夢ってある?」
「夢……って……?」
「ほら、イルカを見たいとか……そういうの」
「イルカはもう見たしなあ……行きたいとこはたくさんあるけど、いずれ行けるだろうから『夢』ってのとは違うし……うーん」
 答えられなかったらまつみが失望する気がして、頭をひっくり返して言葉を探す。
 だがその前に。
「わたしには、秘密の夢がある」
 遠慮がちな、けれど確かな笑みを頬にまつみは言った。
「秘密の夢って何だよ」
 ほおっと目をやる。
「言わないから秘密の夢なのよ」
 頼りなく目を泳がせると、もう一度微笑んでからまつみは背を向けた。眩い光に向かう後ろ姿を有人はしばらく眺め続けた。




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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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