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少女探偵団 大阪戦争? 福あり!プロローグ2

『―受験生の犠牲者は山村奈穂《やまむらなお》さん十一歳、左藤《さとう》ナナ子さん十二歳の二名です。警察の調べに寄れば犯人は貸布団屋のアルバイトとして前々日に校舎に入り、人間性実技試験会場の洗面台下に手製の爆弾を仕掛けたものと見られています……』

 聖蓮女学院からの中継を見ていた時、携帯が震えた。名前を確かめて立ち上る。
「阿妃佳《あいか》ちゃん、ご飯の途中に立ち歩くのはやめなさい。食べ物に失礼だって前から言ってるでしょ」
「ちょっと急用」
 母親にぼそりと返し明灰《めいはい》阿妃佳は自室に入る。
『……司令。聖蓮女学院入試爆発事件、もうチェックした?』
 少女探偵団員、つまり「部下」の春瀬香南《はるせかなん》だ。なのだがー
「今ちょうどテレビで見てた」
『テレビなんて低俗なもん見てるんだ? 司令らしくもない』
(なんでテレビは低俗でネットのニュースチェックは高尚なの?)
 など返しても無駄。自分の言うことなどこの子は聞きやしない。それでも冷たく返す。
「で何? 言っておくけど、あれも抱えようなんてのはお断りよ。横浜の事件がまだ……」
『司令。これ連続殺人だって!』
(なっ!)
「ちょっと待って! 何がどう連続だって言うの」
『だーかーらー! 入試会場の爆破事件と、横浜の女子中学生拉致殺人事件は同一犯人の犯行だって言ってんの!』
 頭ワルイなあ、と見事な見下し口調が決まる。
「……根拠は?」
『とにかくあたしがそう思うんだから! 司令はこのあたしが信じられないって言うの?』
「前の事件の時、頼んだ録音をすっぽかして帰ったのは誰だったかしら」
『だって「愛の妖精」の最終回だったし』
「私もサッカー中継見たかったんだけど」
『あたしの勝ちね!』
 香南が平然と胸を張った―のが見えるようで思わず額を押さえる。
 小学五年生なのに既にCカップなのが自慢だそうだが、どうでもいい(高三の自分がそれより小さいのも)
『司令もあたしもどっちも見たいものがあった。で実際に見られたのはあたし。つまりあたしが勝ったの! 世の中弱肉強食! 人間万事、復讐するは我にあり!』
 抑えたため息。
 背中には上に立つ者の悲哀が昔風のドラマの中年刑事ばりに滲む。十八歳なのに。
『根拠はね、司令。動機よ。どっちも殺人が目的じゃないってこと』
「だけど犠牲者がー」
『だーかーら! 犯人も何人か死ぬかなあ? とは思ってたんじゃない? でも今回の事件の主目的は受験生の殺害じゃない。……なんだ、やっぱ司令でもわかってなかったのか。横浜の事件だって、殺されたのが「一人だけ」なのが大きな問題! ってあたし前から言ってるでしょ』
「……こっちも言ってるはずよね。私の任期は来月まで。これ以上手は広げられないって」
『あたしが団長になって引き継げば問題ないって!』
 今度ははっきりとーまたはわざとらしくーため息をつく。
「次期団長は未定です」
『なーによ大嘘つき! 真執《まとる》とラダきょんとならあたしに決まっているじゃない!』
「阿妃佳ちゃん。早く戻ってこないとお食事片づけちゃうわよ」
 ダイニングからは母親の声。
「もうちょっと待って! 友だちから相談なの」
 怒鳴り返すとすぐ携帯に戻る。
「……次の捜査会議で。それまであなたには、聖蓮女学院の爆発事件についての下調べを許可します」
 リーダーたるもの感情的になってはならない―阿妃佳の持論だ。それは自分の心を削るようで恐くもあったけれど、団長でいるのもあと少し。そう心配しなくてもいいだろう。
 心配すべきは少女探偵団の今後だが。
(この子はー)
 またため息。

「……ところで香南。私は中学受験はしてないから、ああいう入試のことよくわからないんだけど」
『任せて! あたしは志望校も決まったしね!』
 ひとしきり「H点実技試験」を説明させてから尋ねた。
「あなたどこ受けるの」
『大阪府立大附属中!』
「……そういうことは、もう少し早く伝えてほしかったわ」
『何よ! あんたあたしの親か先生? あたしがどの中学受けようと勝手でしょ!」
「だって……」
『あ~! 『だって』って言った~! いつもさんざん人に使っちゃいけないとかいって
るクセにぃ~! やーいやーい!』
(辛抱辛抱)
 相手は小学生のガキだ。
 それに、次に言う言葉の効果も想像出来ていた。
 案の定それを聞いた香南は絶句し、阿妃佳は少しいい気持ちになって、次の瞬間嫌悪にどぼんと落ち込んだ。
「―だって、大阪は日本じゃないから」


ダイニングに戻ると、好物の「車麩カツのきびとじ」は既に片づけられていた。
「阿妃佳ちゃん、どこ行くの?」
「ちょっとコンビニ。すぐ戻る」
 顔を背けて勝手口から夜道に出た。

「阿妃佳ちゃん大丈夫かしら」
「平気よ」
 明るく返したのは、阿妃佳の顔を縦に引き伸ばして、髪をくるりと巻いて染めた女。姉である。
「だけど食事を粗末にするってことは、命を大事に出来ないってことでしょ」
「友だちから相談、ってのは本当だと思うわよ。慕われてるってことじゃない?」
「だといいんだけど…………」
 母は延々とエプロンの裾を握り続け、おにぎりを提げて帰ってきた阿妃佳の白い視線を浴びることとなった。

                     ※

「コレハフクシュウダ……」
 都下の小高い森の中。
 煌々とライトに照された聖蓮女学院。立ち入り禁止のテープ向こうで作業を続ける捜査員たち。
 繰り返しニュース映像を見ながらその人物はつぶやいた。
 作戦は成功だ。
 だがこんなものでは満足出来ない! これから自分は、連中が想像出来ないほど大きな作戦を実行する。
「ミテイルガイイ」

 デスクに手をついてポーズをとってから、我ながら決まったと酔う。
 漢字をど忘れしたのでカタカナでつぶやいてみたのだが、かえって雰囲気が出たようだ。これからそうしよう。
(とはいえ調べておいた方がいいかな)
 入力、変換キーを押す。
(ああ「復讐」か)




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