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少女探偵団 大阪戦争? 福あり!1-2

「ハイハイ」
(うるさいなあ、この説教ババア!)
 聖蓮女学院の生徒たちが連れ立って坂を降りてきている。
(何あの制服?)
 ひどく変わった色、そう、赤をどぶにつけて日にさらして薄めたような色のジャンパースカートに、銀の大きな校章のバックル。揃いのピーコートは制服ほど色は褪めていないがやはり濁った赤だ。
 所々に先生らしい大人が見張っていて時々何か注意している。カメラを持った報道関係者も少なくない。目的地はもうすぐだ。
 坂を上り切った所が聖蓮女学院の広い校門だった。

 石の門柱の横に事件の犠牲者を悼む献花台が設けられていて、警察官の指示に従って十数人が並んでいる。阿妃佳や香南と同じくらいの年の人間も多い。二人も列の後ろにつき、番が来ると阿妃佳は抱えてきた花束を台におろした。それぞれ名前を書き、他の人と同じように手を合わせると、警官の持ったロープに沿って外に出る。
 入試会場爆破の現場である校舎の方に目をやったが、レンガ色の道の向こうに、赤茶色の屋根と白い壁が小さく見えるだけだった。
 今日は事件の現場を見に来たわけだが、今のところ特に手がかりはない。
「悲しんでるフリ、上手かったじゃない」
「ふりのつもりはないけど」
「嘘つき! 顔も見たこともない知らない子が死んだからって悲しくなるわけないじゃない!」
「私は、本当に犠牲者の子たちのことがやりきれない。それだけよ」
 阿妃佳の顔にはいかにもな痛みが滲み出ていて香南はまたいらついた。
 高校生のくせしてどうしてこう「イイ子ちゃん」なのか。H点があまり良くないというのが信じられない。
(しかも美人顔)
 阿妃佳に会わなければ香南は「目立たない美人」なんてものは信じなかった。母親たちおばさん連中が、
『○○さんお若~い! とてもそんな年に見えな~い!』
 と言い合うような大嘘だと思ったはずだ。
 ちなみに香南は、どうなるかと思って一度、
『○○おばちゃんってとてもそんな年に見えなーい。もっとずっとおばさんに見える~』
 と言ってみた。
 結果、引っ越して転校する羽目になった。
 香南は何ともなかったのだが、母親が半泣きで手がつけられなかったので、以来言うのは止めている。
(けどもう一度言ってみたいな)

 阿妃佳の話に戻ると、こうやって歩いていても誰も彼女を振り返らない。けれど細い鼻筋、切れ長の目と眺めれば眺めるほど整った顔立ちで、メタルフレームの眼鏡を取ればより引き立つのもお約束通りだ。
(……頭はあたしの方がイイけど!)
 だからこいつは、自分に次期少女探偵団長を慎んで献上するべきなのだ。
 何をごねているのだか。
「人の言うことにケチばかりつけてるけど、あんたはどう思うのよ」
「わからない。今のところ霧の中。…とにかく連続殺人だというあなたの主張は根拠が弱すぎるわ」
「証拠を見つけるのは警察のおじさんの仕事。あたしがやるのは頭脳労働なんだって!」
「そういうセリフは頭を使ってせめて仮説を出してから言いなさい。仮に連続殺人だとしたら動機は何?」
 ぶん殴ってやりたいと背中で拳を震わせた時、
「復讐だよ」
 突然、どぶ赤色(命名香南)の制服の少女が二人の前に進み出た。


 それより少し前。
「まだたくさんいるね」
 校門の向こうの人影を認めて、聖蓮女学院高等部二年の四人は顔を寄せた。
 先程の終礼で、報道の人から何を尋ねられても答えてはいけない、と何度も何度も注意を受けた。
『そこに先生がいますので聞いてください、と言うんですよ。聖蓮の生徒は人に親切にすることを求められていますが、利用されてもいいということではありません。いいですか! トイレはどこですか? も駅はどっちですか? も駄目ですよ!』
『パンツの色何色、もですかぁ? カメラ持った男の人に言われたんですけどぉ』
 とにかくようやく説教から解放されて―
「C組の愛《あい》ちゃんの妹、爆発からは無事だったんだけど、逃げる時に押されて腕怪我して、病院に通ってるんだって」
「恐いねー」
「でもそれよりー、まだ合格かどうか決まらないことの方が嫌だって」

 中等部のH点実技宿泊試験は事件のため中止された。学校は当初、起床時までで合否を決定すると発表した。すると洗面試験が得意な生徒の親が騒ぎ出した。
 そこで爆破直前までのデータを使うと言ったところ、試験のうちだと勘違いして犠牲者に駆け寄った受験生の親から猛抗議があった。
『ウチの子が一番やさしい心の持ち主なのは明らかではないかっっっっ!』
 抱き上げた少女が病院で死亡し、娘は今ショックで寝込んでいるという。
 聖蓮の受験でPTSDを受けたのだからその責任を取れ、との親の主張を一部のマスコミが揶揄した。いったんトラウマ持ちになったらH点が墜落するのが常識だからーそれを面と向かって言うのは「差別」のため微妙なニュアンスで書いているがー大学付属高の聖蓮への入学で、将来を保証させようというのだろうと。
 挙句には犠牲者の親まで、死亡したから合否判定の対象外というのは許せない! と主張し出した。
 「左藤ナナ子、享年十二歳」と遺影パネルの下に大きくピンクで書いたプラカードを持ち、献花台前をゴジラのように行き来する母親の姿がニュースに繰り返し映し出されたものだ。

「なんかやだね。そういうの」
「そだね」
 校門を出ると、献花台から二人連れが戻っていくのが見えた。
 死んだ受験生の友だちだろうか。一人は小学校高学年くらいで、水色のタータンチェックのミニに白いダウンジャケットが似合う可愛い子だ。が、柔らかそうな栗色の髪を今どき左右高い位置で分けているのは出来過ぎだ。一緒にいる自分たちと同じくらいの年の人は、つきそいのお姉さんだろうか。
 かわいそうだと目を反らしたくなった時、
「復讐だよ」
 突然、横にいた友人が進み出ていた。



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テーマ : ミステリ
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