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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 1-3

「動機を知りたいんでしょ? 復讐だよ」
「ち、ちょっと理央《りお》ん!」
「どうしてそう思うの」
 お姉さんらしき人は、動じた風なく問い返した。
 眼鏡をかけた頭の良さそうな人だ。一方小学生の方は後ろでこちらを睨んでいる。
「思うんじゃないもん! わたし知ってるの。復讐したかったんだ」
「なぜ知っているの」
「だって、白い卵が言ってるんだもん♪」
 今度は眼鏡の人も絶句した。
「……理央んちゃん、知ってる人?」
「ううん」
 にこにこにこ。平然と首を横に振り、理央んはうれしそうにコートの裾をひろげてみせる。噂では戦前から変わらないという校則通り背中に垂らした三つ編が、いたずらっぽく揺れる。
 ミニスカートの小学生の目はどんどん険しくなる。可愛い子なのに、やたら恐い。
 三人は慌てた。
「ごめんなさいっ、この子ちょっと変わってるんです」
「気にしないでください!」
「ほら理央んちゃん、先生に見つかったら怒られちゃうよ」
 当の本人は首を傾げるだけ。
「わたし、変わってる?」
 引き戻そうとしたのを眼鏡の人が手で押えた。どういうわけか従わざるを得なかった。
 理央んはトトンと眼鏡の人の前に舞い戻る。
「ねえ仲間欲しくない? わたし、仲間になるよ!」


『それで聖蓮の二年生を『招待』したのか』
 電話の向こうで江礼《えれ》真執は不満そうだった。阿妃佳は言葉を継ぎ足す。
「うちの団は元々、定員割れでしょ。ラーダちゃんは日本には帰ってきそうもないし、私も十九になる四月前には卒業。おまけに香南が大阪行くって……」
『えええっ?!』
 絶叫した真執だが説明するとすぐに納得した。
『あいつには一番いいんだろうな。司令。それがその変わり者に声をかけた理由か』
「真執には隠せないな」
 阿妃佳は小さく笑った。
「私あの時、思ったの。ああ、自分は本当に仲間が欲しかったんだって」
 悲しいくらい、耐えるのに苦労するくらい。
『僕は、仲間じゃないのか』
「真執は仲間って以上に友だちだから」
 重かった空気が一気にゆるむ。
「香南とはいいコンビになるんじゃないかしら。春瀬香南と夏邑《なつむら》理央ん」
『ハンッ! 香南といいコンビなんて勘弁してほしいね』
 売り出し中の外国人漫才師、立痴菜《りっちな》あらぶ人&謎乃《なぞの》いんど人といい勝負だ―と考えたことはさすがに言わなかった。
「阿妃佳ちゃーん、ご飯出来たわよー!」
 真執が電話を切った後も、携帯を握ったまま阿妃佳はじっと空《くう》を見つめた。
 二年前に団長を継いでから、少女探偵団のメンバーは部下だと考えていた。
 プライベートでは友だちの真執にも、「仕事」中は私情を挟まないように努めている。自分は彼女らの全てに責任を持たなければならない上司だから。
(私は、自分が仲間を持つことを許せてなかったのか)
 携帯を握る手に力が入る。
 なかなかダイニングに出てこない彼女を待って、母がエプロンの裾を握り込んでいたのと同じように。


                    
『紺のベストスーツが茶色い血《・・・・》で染まってた。あの子、死んじゃった子だと思う』
『左藤さんはブラウスを血で茶色に《・・・》染めながらもグラウンドまで逃げて力尽きました』

 親指のささくれを思いっきり引っ張ると、血がぷくりと膨らんだ。
(痛~い。もう、腹立つなあ!)
 ネットカフェの個室では誰にも当たれない。仕方なく一人でぶーたれつつ、針の頭ほどの血を見つめる。
 「赤」い。誰が何と言おうと赤だ。ひねくれ者の香南ですらそう思う。
(おかしい。やっぱ)
 証言者たちが被害者を見たのは爆発直後。動ける受験生はすぐに避難させられ、重傷者は間もなく病院に運ばれている。
 時間が経っていない血は赤いはず。なのにどうして口を揃えて茶色い血と言っているのだ? 記者も誰もなぜ突っ込まない? 
(大人のくせに馬鹿じゃない?)
 事件から三日。
 ニュースをチェックした限り、聖蓮女学院中等部入試・人間性実技宿泊試験会場爆破事件ー正式名称だそうだが長過ぎるーの捜査は進んでいない。
 犯人は前夜教室に布団を運んだアルバイトの一人。彼から出された履歴書は名前も住所もでたらめで、顔写真には薬品処理が施され、警察が手にした時には退色で顔が見えなくなっていたという。無差別殺人と学校や受験生への怨恨の双方から捜査を進めているというが、要は容疑者も絞れていないらしい。
(昨日だって)



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