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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 2-1

 女の子はきらきらするものが好き、なんて誰が決めたんだ? 香南は大嫌いだ。
 無数の方向に刻一刻と輝きを変える宝石のようなモノには特にイライラする。
 ここは、その手のもので溢れていた。

「誓い。私、夏邑理央んは、今ここに少女探偵団二万年の歴史の……って明灰さんっ! 二万年って、二万年って、いったいいつからです? マンモスがいた頃?」
 香南と阿妃佳の前で決まり文句を読み上げていた理央んが、紙を振り回して詰め寄る。
 木目内装のこの部屋は阿妃佳の家の別棟。母親の仕事場だという。
 庭隅に立つこの小さな平屋がお菓子の家のような少女趣味なのが、香南は最初から気に食わなかった。少女趣味でいいのは小説だけ。ちゃらちゃらしたピンクや白のレースなど反吐が出る。
 棚には丸い水晶が小さい物からテニスボールほどのものまで、そのほかピンクや青や鉱石色の石、ペンシル型の濁った水晶や、それらが群生して固まったような紫の石など、香南が名前も知らないありとあらゆる石が並んでいた。
 正面の白い棚に百本以上鎮座するのはガラス瓶に入ったハーブオイルで、ヨーロッパからの輸入ものだという。正確にはオイルとハーブ液の混合だそうで、同じ瓶の中でも上下で色が違う。青に緑、オレンジに紫と七色以上の光が瓶を通して部屋に注いでいた。
 石もボトルも全部床に叩き付けて粉々にぶち壊してやりたい。どんなに気持ちいいだろう!
『わあー、きれいー!』
 入ったとたん駆け寄った理央んに、
『触らないでね。母さんの仕事道具だから』
 阿妃佳がさらりと言った。前に聞いたことがある。
『司令のお母さんって何やってるのよ』
『癒し関係。……私はそっちの世界にはあんまり関わりたくないからよく知らないけど』
 いない時だけ場所が借りられるという。
 香南もセラピストと名乗る女の所に連れていかれたことがある。私たちは善人です、と全身で主張しているような―丁度この水晶やハーブボトルが恥ずかしげもなく光っているように―奴の話など、聞く気にもならず我慢だけして帰ってきた。
『相変わらず不思議系の仕事? ヤダヤダ! 大人のくせに恥ずかしいって!』
『本人が好きみたいだから。前みたいに漬物石頭に乗っけたような顔されてるよりはいいわ』
『えーっ! 漬けると食べられる石なんてあるんだー?』
『……』
 理央んの発言に、思わず阿妃佳と顔を見合わせた。

 ともあれ阿妃佳が少女探偵団入団の誓いをさせ始めたのだが、これまた一筋縄ではいかない。
「少女探偵団が出来たのがずっと昔ってことよ。文字が確認されてるのが一万五千年前だから、それ以上に古い気はするけれど。案外二万年を切るかもしれないし、百万年前かも……」
「ひゃくまんねんって……うきゃっ?」
 今日は三つ編をほどいて軽く背に流している理央んは目をくりくりと回して見せたが、
(あたしほど目が大きいわけじゃないから。たいして可愛くないって)
 腕を組んだまま値踏みする。
「人類の歴史は百五十万年以上だって」
「えーーーっ、そうなんだあー。すごいねえ、こんなちっちゃいのにそんなこと知って……」
「あんた、失礼でしょ!」
 ゴムボールが跳ねるほど反射的に食ってかかった。
「あたしがちっちゃいとか、小学生だとか、そんなことは頭の良さには関係ないでしょ。なんで小学生だと事件を解けないって思うの? そんなのいじめだ! 差別だ!!」
「香南。止めなさい」
「…ごめんなさい。わたし、ひどいこと言ったんだよね?」
 理央んが肩を縮めて何度も謝り始めたのに拍子抜けした。次の瞬間ふんと胸を反らす。
「わかればいいけど!」
「いい? じゃあ続けて」
「はーい。誓い! 私、夏邑理央んは、今ここに少女探偵団二万年の歴史の流れを継ぐ一員となります。知性と心と力を全て捧げ……って明灰さん! 全部捧げるって、わたし、学校止めなきゃならないのぉ?」
 少しだけ阿妃佳がいらだって見えて香南はけけけと笑った。
「後から出てきますが誠実に、つまり手を抜いたりせず真面目にやってくれればいんです。それから?」
「はーーい! あの明灰さん、少女探偵団の本務、って何? 事件の謎をすばばんと解いて犯人はお前だっ! て人さし指を突きつけるわけじゃないんだ?」
 そもそも指で人を指すのは失礼だけれど、といつもの説教ババアぶりを見せてから、阿妃佳はその場で大きく肩を回した。
「少女探偵団の本務は何か、ね。わからない」
「ほにゃ?」
 二万年前だかに団が出来た当時は何か目的があって、準備か練習のために事件の謎を解くことにしたのだろう。だが時が流れた今、本来の目的はわからなくなってしまい、事件を解決することのみが伝えられている。

「Hands and Chant of Wise Women」
「Goddess of Water and Fire」
「にゃあ?」
「賢女の手と歌。水と火の女神。本務についてのキーワードとして伝えられてる言葉よ。海外の団から聞いたんだけどね。それから? 後は?」
「どのようなものによっても少女探偵団の任務を曲げることなくって、なんかよくわかんない」
「最後の部分と一緒に考えた方が理解しやすいと思う。読んでみて」
「はーーーい。血族や姻族、師や雇主に国家に至るまで、どのようなものによっても少女探偵団の任務を曲げることなく誠実であることを誓います。同じくいかなるものに対しても少女探偵団の秘密を守ることを命にかえて誓い……って! なんか命がけって理央ん恐い~!」
(あーもう、うざったい女!)
「犯罪者に立ち向かうことには時には危険も伴います。けれどあなたたち団員の安全は、団長の私が何に代えても守ります。それは心配しないで。それから、少女探偵団のメンバーになったら、その一員であること、自分が探偵団の仕事をしていること、そもそも少女探偵団の存在自体を誰にも話してはなりません。これだけは絶対守ってください。この秘密を漏らした人については二万年前から代々こう伝えられています……消されるわ」
「……って、少女探偵団の偉い人とかが、どっかにいるのぉ」
 理央んは大げさに震えた。
「少女探偵団には本部も何もありません。世界各地の団はお互いに協力してそれぞれの仕事を遂行しますが、どこが偉いとか命令をきかなきゃいけないとかはありません。ただ伝えられてるだけ」
「んなもんただの脅しだって! 昔どっかの説教ババアがでっち上げたに決まってるわよ」
 呆れて突っ込む。
「どうかしら。案外、私たちと同じように、どこかで私たちを監視するグループが代々受け継がれてるのかもしれないし。ただ夏邑さん。これだけは覚えておいてください。はるか昔から、もしその時々の政府や幕府や王様や……そういう人たちに存在を知られていたら、少女探偵団が今まで続いたかどうか。今、私たちが不用意に秘密を漏らして受け継がれてきた鎖をここで切ってしまうというのがどういうことか、考えてみて」
(この馬鹿高校生にンなこと言ったってわかるわけないじゃない。あーあ)
 阿妃佳は自分ほどではなくても頭はイイのに、どうしてこんなのを団に入れようとしているのだろう。
 ともあれ、阿妃佳の努力の結果やっと理央んは誓いの言葉を唱えることに成功した。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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