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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 2-2

            誓い

 私、夏邑理央んは、今ここに少女探偵団二万年の歴史の流れを継ぐ一員となります。
 知性と心と力を全て捧げ、少女探偵団の本務に献身出来るその日まで、選び取った謎を解き続けることを誓います。
 血族や姻族、師や雇主そして国家に至るまで、いかなる存在によっても少女探偵団の任務を曲げることなく誠実であることを誓います。
 いかなる存在に対しても少女探偵団の秘密を守ることを命にかえて誓います。

 終わると阿妃佳は理央んに目隠しを付けた。新入団員が必ず使う深紅の布だ。コップの水を手にこぼし申し訳程度理央んの頭上にまく。赤とピンクのバラの花びら、そして小さな白い紙を理央んの上に放り、香南もぽいっと水仙の花を投げた。家のプランターに咲いていたのを折ってきたので帰ったら母親に文句を言われるだろうが、知るものか!

「あらためて、ようこそ少女探偵団日本支部へ」
 目隠しを取ると阿妃佳は握手を求め、理央んはきゃんきゃんとそれに応えた。
(こういうのがしゃくに触るほど決まるんだよね、司令って)
「少女探偵団の定員はそれぞれ五名ですが、今まで日本支部は定員割れで四人でした。一人は遅れてくるから後から紹介します。私は団長の明灰阿妃佳」
 都立高校の三年で、推薦で既に進学先は決まっている。あと一ヶ月ちょっとの四月で十九になるので少女探偵団を卒業しなければならない。が、半年くらいは猶予期間としてもいいと言われているので、現在の事件が解決するまでは団に残るつもりだと言う。
 他人事のように淡々と説明するすかし方が香南の気に食わないところ(の一つ)である。
 少女探偵団の団員は九歳から十八歳の女性から団長が選ぶ。地域の事情によって年齢の幅をせばめても構わないとされているが、日本支部では独自の制限は設けていない。

「で、こちらが春瀬香南」
 公立小の五年生で、日本支部を支える優秀な頭脳―と正確に紹介するのがまたいい子ちゃんで嫌な感じだ。(もっとも、小学生だから馬鹿など言われたらゴジラ並みに暴れて水晶の二つや三つ踏みつぶしてやるが)
「口は悪いし、癖はあるけど慣れるしかないわ。じゃあ次」
「ちょっと司令、何よそれ!」
 無視して木のテーブル上にあるノートパソコンに向かう。
「Radha,It's time to see her!」
 灰色の画面がぷちりと明るくなった。
『ナマスカール! Welcome!  夏邑理央んさん』
「うわー! 美人ー!」
 理央んは遠慮会釈なく言った。確かにとうなずきながら香南もモニターを見る。
『ありがとう。ラーダ希世絵《きよえ》シュレスタです。初めまして』
「ラダきょ~ん! 元気~!」
『香南ちゃん久しぶり! 元気ですよ。来週あたりから暑くなってくるから、大変ですけど』
 笑顔で手を振り返してくれる。
 阿妃佳が目立たない美人なら、ラーダは誰でも振り返る文句なしの美人だ。
 少しだけ褐色がかった肌に長い黒髪、彫りの深い目元。これ以上深過ぎたら日本人にはかえって違和感があるかもしれないが、ラーダのほどほどの窪みは黒目がちの大きな目を引き立たせるだけだ。あんな目でうるうる見られたら、男なんか誰もかなわないだろうな、と思ったりする。
「ラーダはお父さんがネパール人で、今はインド、コルカタの寄宿学校にいるの。十五歳で、コンピューターにかけては凄腕よ。頼りになるわ」
「といいますか、好きなんですし。うちのシャームとマーダヴと学校のリーラももう可愛くって!」
 全部パソコンの名前だときょとんとした理央んに教えてやる。
 ラーダは傾城の笑みで阿妃佳に視線を合わせ、
「済みませんけど、うちの寮この間抜け出した人が見つかって減点になったので、そろそろ失礼します。頼まれたものはメールに添付して送っておきましたから」
「グリフィンドール二百点?」
「マイナス二千点!」
 それではまた、と挨拶するといきなり画面が灰色になった。
「二千点っていったい何やったんだか……あ」
「ちょうどいいところだったみたいだね」
 ドアから一人が滑り込んできた。阿妃佳がさっと向かい、見上げて何か話す。
「あー、司令さん彼氏ですかぁ。いいなあー! ひゅーひゅー!」
「……司令ってのはあだ名みたいなものだから」
 別にそう呼ばなくても、と少しばかり顔を赤らめてから。
「彼女も少女探偵団のメンバーよ」
「えーーっ! 少女探偵団にイケメンの男の人が入ってるんですかー」
「僕は女だ」
 銀の大ぶりなブレスレットに、同色のごついベルト、黒のパンツのポケットに手を突っ込んで真執はゆっくりと近づいてきた。
「わー! おかしいんだー! 『僕は女だ』だってー! 僕は、僕が、女? にゃあっ?!」
「夏邑理央ん! 失礼でしょう!」
 阿妃佳にしては激しく目を吊り上げる。次の瞬間、香南はちぎれるほど目を見開いた。
「うひゃあっ!」
 真執は香南以上に目を剥いて飛び上がった。
「なっ、……何するんだっ!!」
「ついてない。ほんとに女の子だ」
 真執の股間をぎゅっと掴んだ手を閉じたり開いたりしながら理央んは一人納得した。
(……あたしでもここまではしないわ)
 思わずつかつかと歩み寄る。
「ねえ理央ん。あんた、H点の偏差値三十切ったことあるんじゃない?」
「知らないよー。わたし模試とか受けたことないもん」
「嘘ですねー! 受験の前にやったでしょ!」
「理央ん幼稚園から聖蓮だから。そういう難しい勉強はしたことないんだ」
「そっか。そういうことか、ちぇっ!」
 自分よりH点の低い奴を見つけたかと思ったのに、と露骨に頬を膨らませる。その時には阿妃佳が理央んに説教して真執に頭を下げさせていた。

 眼鏡の弦を叩いてから阿妃佳が江礼真執を紹介した。理央んと同い年で専門学校の二年生。
「芝居の学校だ」
 気を取り直したらしく笑みを見せる。
「じゃ、将来俳優さんになるんだ」
「ならないよ。ただの道楽だ」
 捨てるように言った真執に、阿妃佳が心配そうな目をした。
(ったく。司令は真執をひいきばっかしてる。えーこひーいきー!)
 真執は学校での友人と劇団を作っていて小劇場で舞台に立っている。
「今回の公演はこの間終わったばかりだけど、次は是非見にいってあげて。面白いから」
「見る見るぜったい見る~!」
(調子いい奴!)
 面白いかどうかわかりもしない舞台を知り合いだからと見ると騒ぐ感覚は、香南にはわからない。大人はそういう「大嘘」が大好きだ。高校生っていうのはもう大人なんだろうな、と冷たく三人を眺めた。



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テーマ : ミステリ
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