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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 2-3

「白い卵が、これは復讐だって言ってたんだ」
 理央んが言った。
「何それ。金の玉なら好きだけど」
 ぱこん! やってきた阿妃佳がいきなり何かで香南を叩いた。
「少なくとも探偵団の仕事中は品位のないことを言うのは止めなさい」
「痛ぁいー! 暴力はんた~い! 訴えてやる~っ!」
「これが痛いわけないでしょ」
「って何よ?」
 うらみがましく見上げる。
「ハリセン。漫才師がよく持ってるでしょ」
「あたし漫才なんて低俗なモノ見ないもの!」
「漫才は低俗で、アニメ『愛の妖精』は高級なのかしら」
「っっ……そうよ知らないの?! 『愛の妖精』は一流の女流詩人、ジョルジュ・サンド原作なんだって!」
 阿妃佳は唇を引き結んで背を向けた。
「司令、そんなものいったいどこから手に入れたんだ?」
「さと美《み》ちゃんがくれたの。リーダーは持つもんだって」
「……君は時たま、どうにもセンスのないボケをするな」
 真執に冷たくいなされ、阿妃佳は心持ち赤面して椅子に戻った。
 天然木の大きなテーブルを四人の少女探偵団員たちが囲んで座っている。
「理央んは普通の人には見えない『白い卵』を見ることが出来るそうなの。空中に浮いていて、その場にいた人の強い思考や感情を話している―」
「何それー! 空中に卵だって! きゃはは……!」
 理央んに向け足を投げ出す。
「だってほんとに見えるんだもん。白い卵っていうか、正確に言うと卵が横になった形で、真ん中に金色の線が二本横に入ってるのが、ぽんって浮かんでるんだ」
「あんた、おかしいんじゃない?」
「香南!」
 再びハリセンが飛んできた。
「何がいけないのよ。司令だって思ってるくせに。嘘吐き嘘吐きやーい!」
 阿妃佳は片手を腰に当てて超然と香南を見下ろした。
「……少なくとも『あなたに言われる筋合い』はないわ」
 すたっと背を向けた阿妃佳に対し、香南はいつもの憎まれ口では対抗出来ないダメージを受けた。
「わたしおかしい? うん。よく言われるよ♡」
 香南が沈没している間に理央んが続ける。
「中等部の四階は今も立入禁止なんだけど、事件があってから最初に学校に行った時、高等部からそっちを覗いたんだ。そしたら、白い卵がそう言ってた」
「卵っていうのは今も見えるの?」
「ううん。二、三日でなくなっちゃった。それで、明灰さんから廊下とか階段も歩いてみてって言われてー」
「犯人が通ったであろう所をね」
 阿妃佳が補足する。
「……そしたら階段の二階と三階の間にも白い卵がいたんだ。こっちは『今に見ていろ』って言ってた」
「理央ん。その卵は、前の現場近くの卵と同一人物に間違いない?」
「そんなのわかんない」
「…じゃあ最初の卵が言ってるのが犯人の気持ちだって、あなたはどうしてわかったの」
「わかんない。だって卵、名前書いてないもん。でもなんか、絶対そう思ったんだもん」
(「なんか」「絶対」って何よそれ)
「いいかな? 君はいつも、その卵が誰の思念なのかわかるのか」
 真執が身を乗り出す。
「わかんない」
「どれくらい前にそこにいた人のかはわかるのかしら?」
「わかんない。時計もついてないから」
(そりゃそーでしょーよ)
「今までに、どれくらい前の人の『卵』だったかわかったことはあるの?」
「うん! ジューススタンド前で寒いよーって白い卵が泣きそうになってたんだけど、後で、その時一緒にいた友だちが、カーディガン忘れててすごく寒かったって聞いたんだ」
「気持ちがすぐそのまま『卵』になっていたのね。過去の人、ってわかったことはある?」
「ある! 遠足でどっかのお城の跡にいった時、お城が攻め落とされる時に殺されちゃった人の、すっごく辛そうな叫びが卵から聞こえた」
 阿妃佳が小さくため息をついた。
「大変ね、司令。何百年前から正に今ここまで、すさまじい時間幅! 卵の声とやらが犯人のなのか、特定は難しいわね」
 ここぞと浮上して皮肉をきかせる。
「……男の人の声だった」
(え?)
「その卵ね。復讐だって、男の人の声で聞こえた」
 女子校の校内で男の声の白い卵はまず見ない。
「宿題やってないどーしよーとか、たいていは女の子の声だから」
「これが本当に犯人の、いわば残留思念なら、今後も凶悪な事件が続く可能性があるということです。少女探偵団として阻止に動く価値はあります」
(卵が居るならね)
 いつものいい子ちゃんなセリフ。やだやだ。
「その前に一応今回の殺人についてまとめておきましょうか」
「殺人事件じゃなくって目的は違……」
「香南! 少し黙ってなさい!」
(ふん! ベーだ!)

 二月三日早朝七時二十分、H点実技の宿泊入試中の聖蓮女学院中等部、四階トイレで手製の爆弾もどきが爆発した。被害者は全て受験生で死者が二名、七名が重傷を負った。
 犯人は前夜貸し布団屋のアルバイトで校内に入った若い男。履歴書の「高橋福寿《たかはしふくとし》」という名前も住所も手掛かりにならず写真も変色処理済。布団屋の社員やアルバイト仲間も「中肉中背の目立たない若い男」としか証言出来ないほど彼は見事に存在を隠していた。

「だから! この事件は爆弾がチャチ過ぎるんだって!」
 百均のチャチな刃物をみっちりと詰め込むアンバランス。殺害以上に別の目的があったに違いない! とここぞと力説する。
「じゃあ何が目的なんだ」
「だーかーらー! これからそれは探すの! それで実はアンドレアの事件も同じなんだけど、気付いてた?」
 胸を張った横で阿妃佳がしらっと理央んに説明する。

 十二月二十日、午後五時四十分頃。横浜のアンドレア女子中の二人が、部活帰りに公園内ロッジへ拉致された。翌朝自然公園の管理人が発見した際には三年生は絶命、後輩の二年生も重傷で現在も退院していないという。
 被害者の証言によれば犯人は男。二人とも体を拘束されたにも関わらず、殺害は一名。それぞれ体中に無数の傷跡があり、
「拷問と言っていいほどひどい目に遭ったようですが、いわゆる『いたずら』はされていません。不幸中の幸い、と言っていいのかわかりませんが」



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テーマ : ミステリ
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