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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 2-4

(反吐出過ぎの三乗!)
 吹っ切るように真執たちに説明する。
 成人ーと思われるー男性が拘束した女子中学生を殺すことなど簡単。なのに一人しか殺さなかった。入試事件でも爆弾を仕掛け詰め物までしても、殺害を確実にする凶器は、
「あたしが思うにワザと入れなかった。ね? そっくりな事件でしょ?」
「ほにゃ?」
 理央んと真執はわけがわからないという顔をしたままだ。
 これだから馬鹿は困る。阿妃佳が仏頂面なのはいつものことでー
「……理央んが聞いたのが本当に犯人の、いわば残留思念の類いのものならば、香南の説を増強することにもなるかもしれません」
(へっ?)
 先の計画がある、というニュアンスからは、既に過去に事件を起こしている可能性も想定出来る。
「先生や出入りの業者もいるし、男だから犯人の声とは決められないけど、私は理央んの情報は一つのヒントになると思ってます」
(司令! あたしの説を評価するならちゃんと褒めなさいよ!)
 横で小さくガッツポーズー今時ーをする理央んを睨む。
「で、ついさっき入ったニュースよ。さと美《み》ちゃんからの情報なんだけど」
 阿妃佳はノートパソコンのモニターを香南たちに向けた。
 ざわついた会見場にごま塩頭の警視総監が登場するところから映像は始まる。

『夢の希望もいっぱいだったろうにねえ。突然命を断ち切られたり、今も病院で苦しんでいるかと思うと……もうたまらんよ。うっ、う……』

「泣くなって」
 三人、声を合わせた。
 画面では広報職員が総監に駆け寄って白いハンカチを渡す一方、フラッシュを焚く報道陣を牽制している。
「なんで泣いちゃいけないのぉ? わたしだって悲しいよ」
 理央んが眉をへの字にする。
「……捜査責任者が泣いてどうするんだか」
 阿妃佳が切り捨てた。
「だからH点ばかり高い奴なんて使えないのよ。どーしよーもない無能って、本当なんじゃない」
「沙月《さつき》さんはそんなじゃないって言ってたけど」
「沙月さんがまともな評価なんて出来るわけないじゃない!」
 賄賂やら何やらで二人の総監が相次いで辞任した後、とにかく人柄でと選ばれたのが今の黒宗《くろむね》だ。

『現場の洗面所の爆弾横にはソースのプラスチックボトルが置かれていた模様です。普通のソースではなく特別な用途、具体的には……』

「ほーら、ほら! やっぱあたしが言った通りじゃない、ね、司令?」
 茶色い血、という証言。爆発物には何か茶色になる物が一緒に仕掛けられていたはず。ソースや絵の具やペンキかと阿妃佳に話したが、ろくに取り合ってくれなかったのだ。
 どん!
 総監の合図で、テーブル上にソースが置かれた。
 よくある五百ミリくらいのボトルだ。
 ラベルにはひょうたん型の古めかしい女の顔のマークが入っていた。

『おかちめんこ社のお好み焼き用ソースですな』

「おかちめんこ? これどう見てもおた○○……痛~っ! 何すんのよっ!」
「大人の事情ってもんがあるのよ」
 阿妃佳がハリセンをテーブルに戻してうそぶく。
「あたし子どもだもの♪ 大人の事情なんて知らないもんねー」
「都合のいい時だけ子どもになるんだな」
「真執何か言った?」
「二人ともちゃんと見なさい」
 香南たちが不機嫌な顔をモニターに向けた時、

『それでですな、これが、昨年十二月に横浜で起こった中学生誘拐監禁殺人事件の被害者の遺体から検出されたものと、同じソースであることがわかりました』

 報道陣はさっきの三倍の声でざわめいた。当然香南はもっと騒いだ。
「ほーら! ほーら、ほら見なさい! やっぱあたしが言った通りじゃない? ね、司令?」
「続きを見なさい」
「イーダ!」
 裏返るほど目の下をひっくり返して舌を出す。
 総監は横浜の事件では遺体にソースで絵が画かれていたと説明した。ネットなどで噂になっていたそれを警察が公式に認めるのは初めてだった。

『絵柄ですか? 子どもの落書きみたいなものです。まだ捜査中のため、全部は言えないがの。一つはチューリップ、一つは家、といっても三角の屋根と四角の壁だけの。あとは二重丸などの図案の類い、それに……』
『総監っ!』
 職員が駆け寄って口止めする。
『すまんすまん、捜査の大事な材料なんでの。って自分で言っておきながら忘れてしまってたよ。ははは』

 香南も阿妃佳もがくりと首を落とす。
 総監は相変わらず軽い調子で、別に重大発表があると告げた。

『一昨日犯行声明が警視庁に届きました。「都内女子中入試爆破事件と、横浜女子中学生監禁殺人事件は同一人物の手になるものである。警察は心して捜査を進めよ。キーワードは『茶色の血』」』
 ソースの件が伏せられていた以上、二つの事件の類似性を知る者は誰もいない―犯人を除いて。

『おかちめんこソースがお好み焼き用ということは、犯人はお好み焼きをよく食する地域の人間だということですか?』
『やはりこの恐るべき連続事件も大阪人の犯罪と……』
『いやまだまだ! 犯人は全然絞られていないのだよ』
『そんなこと言って隠してるんじゃないでしょうね! このこの~!』

 もう我慢出来ない。香南はがたんと椅子から立ち上った。
「信じられない。何が大阪人よ! 記者のやろーがノータリンなら警察のおじさんも頭ワル過ぎ! 司令。これ出したのあたし」
 な、という形のまま阿妃佳の口が固まった。
 一拍遅れて。
「えーーーっ! 香南ちゃんこの殺人事件の犯人なんだっ!!」
 ざざざざざざっと椅子ごといきなり後退した理央んに、香南は真剣でぶった切るようにハリセンを脳天へ振りおろした。
「いー加減にしろっ!!」

 ―それは私のセリフよ。
 一分後、ようやく事を理解した阿妃佳は思った。 



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