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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 2-6

「私はこの事件が解決したら少女探偵団を卒業する。あの子が府立大の附属に進学するのは―受ければ受かるでしょうから―来年の四月。その間、団長をやる可能性はなくなっていないわ」
「馬鹿げてるな。君がもう少し居座ればいいだけのことだろう」
 少女探偵団の任期は弾力的に運用していい。
「前後半年程度、とも言われているでしょう?」
「もしあの馬鹿を君が指名するようなことがあったら、僕は団を抜ける」
「仕方ないわね」
「っ……止めないのか!」
「卒業した後のことは私の仕事の範囲外だわ。残念ではあるけど」
「なら考え直してくれ」
「言ってるでしょう? 香南は団長候補の一人に過ぎない。ラーダはさすがに無理だけど、今日入った理央んでも、あなたでもいいのよ」
「僕はマークされている。僕が団長になったら少女探偵団の秘密は守れない」
「承知してるわ」
「君はっ!……失礼」
 さっとジャケットの内側から携帯を取り出す。
「……悪い阿妃佳。ちょっとトイレにでも行っててくれないか」
 知り合いが店に来るらしいが、顔を覚えさせたくない、と真顔を上げた。


 上質なダークブルーのストライプスーツ。
 ゆったりとした物腰の若い男のウエストには、何故かピンクシフォンのリボンが巻かれている。背中側で大きな蝶結び、それもご丁寧に縦結びだ。
 羽根付きの灰色のハンチングを頭に載せ、胸にはーポケットチーフ代わりかー大ぶりの缶バッチを付けていた。店中の客の視線が彼に流れては宙に泳ぐ。
 構わず歩いて来た男の視線が止まり、真執の願いもむなしく目の前で立ち止まった。
「江礼のお嬢さんですよね。お久しぶりです。父がお世話になってます」
 丁寧な礼。
「ここいいですか?」
「人いるんですけど。わかりませんか」
 阿妃佳の席に座ろうとしかけた男は慌てて頭を下げた。
「……筧《かけい》さん。お父様のスタイリストさんは何かおっしゃってませんか?」
「若い者は独自のセンスがあるだろうから、と父が言ってくれてますから」
 年齢差も程度問題だろうーうれしそうな彼に独りごちる。
「芸術家の江礼さんなら、こういう前衛芸術もわかるんじゃないですか?」
 わからない。わかりたくない。
「……僕は芸術家なんかじゃありません。ただの道楽役者の卵です」
「どうしてそういう言い方をするんですか」
 筧は細面を悲しそうに歪めた。それでもほんわかとした暖かさが漂うのが人の良さか。
「可能性を信じなかったら、持って生まれた才能を自分で摘んでしまうことになりますよ。わたしたち若い人間は、全力で自分自身を試すことが出来るんです。江礼さんだって……」
 続く話を手を振って止める。
「済みません、そろそろ友だちが戻ってくると思うんで。……そういえば筧さんは、大阪については何か情報は持ってますか」
「……特には。江礼さんの方がよくご存知なんじゃないんですか」
 明るく笑う。
「筧さん。大阪は危ないんですか?」
 尻の上で揺れるシフォンリボンに向かって尋ねる。
「大阪にいる人の方がアブナイんです」
 振り向くと笑顔で言い切った。 


「あんたの格好が一番危ないだろーが!」
 筧がVIPルームに消えたのを見計い、阿妃佳が戻ってきた。
「って言いたいわね。あのすごい人、誰?」
「筧雅比呂《まさひろ》。阿妃佳のギャグセンスと同レベルの服装だろ?」
(いくら何でも……)
 否定を期待した時、
「筧議員の息子。最近は秘書として活躍中かな」
「元大臣の?」
 話が流れ、冗談かを確かめそびれて十年後までの禍根を残した―大げさに言えば。
「わかるだろう。僕は目立つことは出来ないってね」
 欧米人風に肩をすくめる。
「例の件も無理かしら」
「いや、あれは僕にしか出来ないだろう。けど、下準備でわざわざ出かけなくてもいいんじゃないか」
「私はそうは思わない。『女装』して潜入してもらう以上……」
「君までそんなことを言うのか!」
「ごめんなさいっ! つい」
 平謝りする阿妃佳に真執は冷たく言った。
「君、香南ちゃん菌に伝染してきてないか」
 阿妃佳はそのままカフェのテーブルにつっぷした。



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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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