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少女探偵団 大阪戦争? 福あり! 3-5

「―ヤダヤダ」
(なんだってこんな頭ワルイもの流すんだか)
「だよなあお嬢ちゃん!」
(はあ?)
 隣で人待ち顔のおやじが勘違いした反応をしてきた。
「いい加減にしてほしいわ。ここ交番の前でしょ。どうして放置するのかしら」
(ちょっとちょっと。おねーさんってば)
 決め決めスーツのOLが憎々しげにモニターを睨む。「大阪漫才」という言葉がさも忌わしげにささやかれると、とうとう何人かが交番に入って抗議をし始めた。
 テレビ番組の文句を言われても警官だって困るだろうに。

「お待たせ香南ちゃん」
 呆気にとられていた香南はやっと真執に気が付いた。
「……今日はあのリムジンとかいう車じゃないの?」
「あんなもの、金を持った人間がいるって教えて歩いているようなもんだ。セキュリティ上得策じゃない」
 今日は電車だ、と阿妃佳とも合流して駅ヘ向かう。
「『キティポニークラブ』どうだったのさ?」
 事件や事故で心に深い傷を負った人たちの自助センター、つまりお互いに助け合おうという―香南の嫌いなタイプの―会だそうだ。トラウマの虎は小猫に、馬は小馬程度に飼いならして生活していこう、という命名からして馬鹿らしい。
「しつこかった」
 真執がげっそりとこぼす。主催の若い精神科医から同じ説教を四度聞かされたという。
「でも有益だったわ。理央んは、『白い卵の悪意は第三者に向けられたもので、自分が傷つけられたのではない』と理屈でなくて腹で理解する必要がある。あの子を使うのは慎重にしないとね。だから香南、あなたの頭は存分に使って頂戴」
(使わせてくれないのはそっちだって)
 電車の中さすがに声をひそめて、だがしっかりと主張した。
「あのさ。さっきの漫才のことだけど、あたしは別に大阪弁が聞きたくなかったわけじゃないんだって。あーんなお笑いみたいな低俗なものを見たくなかっただけ。何が『立痴菜あらぶ人』よ。頭ワルイんじゃない?」
「彼は本当に金持ちだよ」
 真執が外を見たまま言った。
「国の石油関係の企業を支配してる一族の御曹司だ。アメリカ留学の後、日本で羽を伸ばしてる。一度だけパーティーで会ったことがあるな」
「……へーえ。ほんとにリッチなアラブ人ってワケ?」


「真執ちゃんってお金持ちなのに、どーしてこんな貧乏なとこに住んでるの?」
 今日の捜査会議は「木賃宿」の一室。上がったとたん、遠慮なく見回して理央んは言った。
「…いろいろ理由はあるけど、一番は実家に似てて落ち着くから、かな」
「金沢のお屋敷にね?」
 阿妃佳が付け加える。
「わたしこたつなんて初めてー! ね、みかんないの? おこたでみかん、って一度やってみたかったんだー」
 相変わらず理央んは人の話など聞いているんだかだ。パソコンモニターにラーダが現れ、阿妃佳はまず彼女に報告を促した。
『真執さんの携帯のGPSがハッキングされてました。かなり使う相手みたいですし、深追いは出来ませんでしたけど』
「司令、どういうこと?」
 香南の表情が変わる。
「真執は探偵団以外でも狙われる可能性があるから、捜査絡みかどうかはわかりませんが……」
「どっちにしろ大阪関係だな」
 真執が憮然と言う。先日の会議後、阿妃佳とカフェに言った時、反大阪派議員の秘書筧雅比呂に会った。その後真執と阿妃佳は二人で政治家のパーティーにも潜入した。
 思い出すー


 予想はしていてもあまりの「惨状」に阿妃佳は固まった。
 笑顔で壇上に上がった男のイタリアンクラシコー真執曰くーのスーツ姿の頭に、今日は猫耳が付いている。いやリスの耳かも?
「じろじろ見ない! 筧議員の息子さんよ」
 チーフが念を押す。うなずこうとして、振り向いてつまずきそうになった。
 緑と金のシャンデリアが並ぶ高級ホテルのバンケットルーム。
 反大阪派の議員が集まるパーティにー年もごまかしてーアルバイトコンパニオンとして入った。がパンプスはまだ苦手だ。
 人手不足の際呼ばれて時折この仕事をしている真執は、阿妃佳よりずっと高いヒールで余裕で歩く。ロングスカートを優雅にあしらい、鬘のシニヨンに紅いバレッタを飾り濃いルージュで締めたイイ女ぶりだ。仕事前に不安を漏らした阿妃佳に対し、
『舞台では十センチのピンヒールだって履いてる』
 と平然たるものだった。
(そういえば、舞台では「女優」だったわね)
 真執が派遣元の会社と仲が良く、阿妃佳の潜入も快く受け入れられたのだが、慣れないパンプスでは情報収集どころか仕事をこなすのがやっとだ。
「先ほど入ったニュースです。大阪府教育局は、とうとう天神橋筋六丁目能率協会の解散を指示しました」
(!)
 筧の演説に対する会場の反応は奇妙で、阿妃佳はぞっとした。
「三大業者の利用にも同意しました」
 手を叩き口笛が鳴る。だが反大阪派になら喜ばしいニュースのはずなのに、どうも煮え切らない。
「ですがあくまで同意だけです。具体的な手だては全く明らかにされていないのが現実です。大阪のことですから信用は出来ません! 私たちは引き続き奴らの動向に注意する必要があります。社会のために、私たちのふるさとのために尽力している皆様、引き続きお力を貸してください!」
 壇を降りる前の挨拶にだけは万雷の拍手が鳴り、阿妃佳は思った。
 彼らは大阪が、日本政府の出した条件を飲むことなど望んでいないのだ。
 ―大阪を非難する材料がなくなるから。
(やはり戦争を望んでいるの?……)
 ー



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テーマ : ミステリ
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